二宮寿朗「仙台に見るハーフタイムの“言葉”の重要性」

 サッカーの場合、一方のチームの戦い方が前半と後半でガラッと変わることは往々にしてよくある。前半は良いサッカーを展開していたのに、後半はグダグダになってしまう。また逆に、前半は悪い内容だったのが、後半に入ると見違えるように良くなるケースもある。後者の場合は、ハーフタイムにおいて前半を踏まえて戦術的、精神的に修正を図れたからこそ、「見違える」パフォーマンスにつながったと言えるだろう。そこには監督が選手たちに何を語りかけるか、短い時間での“言葉”が重要になる。

敗れても印象深かった仙台

 最近、印象に残ったのがベガルタ仙台だ。4月20日に等々力陸上競技場で行なわれたJ1第7節の川崎フロンターレ戦。アジアチャンピオンズリーグ(ACL)との過密日程でチームの調子が上がってこないなかでの一戦だった。この試合で、仙台は前半と後半でまったく違う顔を見せたのだ。

 仙台が3失点した前半で、試合は決まったかに見えた。内容的にも信じられないほどのミスのオンパレード。いつもの仙台の攻撃ならペナルティーボックス内にボールを入れるところで、余計なひと手間かけてしまい、その消極的な横パスをかっさらわれて川崎の速いカウンターの餌食となっていたのだ。
 リーグ初勝利をホームであげることに意気込む川崎の気迫にたじろぐとともに、崩して点を決めようとする色気も見られ、いつものシンプルにゴールに迫るプレーが影を潜めた。球際の競り合いでもマイボールにできない。ゲームキャプテンの柳沢敦が手を叩いて味方を鼓舞しても、状況はなかなか変わっていかなかった。

 しかし、後半の仙台は違った。やはり昨季リーグ2位のチームだということを証明するような内容だった。川崎の両サイドを押し込み、クロスからシュートにつなげていく。いつものシンプルなスタイルで、後半開始早々に1点を奪い返した。その後、川崎のエース大久保嘉人に追加点を奪われたものの、石川直樹がチーム2点目を挙げてさらに攻勢を強めていく。球際の勝負にも負けず、川崎の勢いを押し返した。

 結果的には両チームともにアグレッシブに戦った見応えのあるゲームだった。だが、最も印象深かったのは2-4で敗れたとはいえ、後半にまるで別のチームと化した仙台のファイトには光るものがあった。後半から投入されたターゲットマン・赤嶺真吾の存在も大きかったが、チームとしてサイドからシンプルに攻めるというコンセプトが意思統一されていた。