スポーツ

特別読み物 宮本洋二郎
広島カープ「最後のスカウト」
伸びる選手はこう見抜く

2013年05月05日(日) 週刊現代
週刊現代

 他球団のスカウトたちはドラフトが近づくと、「あの人は誰を狙っている?」と、必ずその動向を気にしたと言う。「最後の目利き」と畏れられた伝説の男。広島一筋、その目に何を映してきたのか。

マエケンはここが違った

 僕のスカウト生活を一言で言うと、男のケツをね、追っかけてきたんですわ。それこそ朝から晩まで。

 僕が定年になった時、マエケン(前田健太・25歳)が新聞に、

「宮本さんが毎日、毎日、来てくれて。他のスカウトの方は途中で帰られるんですけど、宮本さんだけは最初から終わりまで暗くなるまで見てくれていた」

 とコメントを残してくれてた。'06年かな、ほんまにあの時はドラフト会議の直前まで、毎日(前田の所属していた)PL学園に通っていたから。まあ、惚れ込んどったわけです。

 スカウトってね、当然ですけど技術ばかり追いかけてしまうものです。どんなスピードの球投げるか、足の速さ、肩の強さ、頑丈さ。当然ですけど、そこを見る。でもそうした能力や技術の評価っていうのは、ある程度見たらわかるというか、決まってしまう。いまは数字でもはっきり見られたりするしね。だからどのチームでも、選手の能力評価は、かなり似ているんですよ。

 ならば、我々現場のスカウトは何を見ればいいのか。

 さっき「男のケツばっか追いかけてきた」と言いましたけど、僕は文字通り、投手も野手もまずお尻を見るんです。女性だったら、もっとええんやけど(笑)、大会を視察に行くときは、誰の名前もポジションもわかってない試合前の練習から、「いい尻」を探す。何て言うかモコッとしたお尻。

 倉(義和・30歳)なんか、キャッチャーでも格別のケツをしてたけど、そういう選手は肩がいい。下半身がドッシリ、身体に軸ができるということは、打つにもいい。要は「馬力がある」ということ。

 それで、この子面白そうやなと思ったら、キャッチボールのときからずっと追う。「守備位置どこや」「ショートかセンターか」。そこから肩の強さ、技術を見る。試合始まる頃に打順を確認して、ストップウォッチで足の速さを測ったり、パンチ力見たり。

 マエケンもそうやって見つけた。そもそも評判はよかったし、名門やから有名ではあったよ。でも、いいケツしていた。しかも見れば見るほど、いい球投げる。良くなっていく。

 でもね、僕がマエケンに惚れ込んだのは、技術だけじゃなかったんです。ある試合で、投げていたマエケンが投手交代で、外野守備に替わったことがあった。

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