テレビの未来を読み解く特別対談 久田将義(元『実話ナックルズ』編集長) × 下川美奈(日本テレビ社会部デスク)
「テレビとネットの親和性、役割の違いをどう考えるか」

 一番身近なメディアであり、親しまれ、そして悪口も言われやすいのが、テレビだろう。それだけ関心が高い。

 そんなテレビの現状はどうなっていて、未来はどこへ行くのか? それを読み解くため、今回と次回は、テレビと非テレビのそれぞれ第一線で働く二人の対談を掲載する。

 テレビ側から登場するのは、日本テレビ報道局社会部デスクで、『情報ライブ ミヤネ屋』などのキャスターを務める下川美奈さん。元警視庁クラブのキャップで、数々のスクープを放った。

 非テレビからは元『実話ナックルズ』編集長で、会員制情報誌『選択』の次長も経験し、やはり数々のスクープを書いた久田将義さん。現在はフリーの編集者、著作家として活躍し、ニコニコ動画にも出演している。

 70年代生まれと60年代生まれ。二人とも生まれたときからテレビがあった世代。お互いに何を思いながらテレビと関わり、将来のテレビをどう考えているのだろう?

池上さんの選挙特番は面白かった

久田将義さん

久田: テレビは割とよく見ます。生で見られる時間は限られてしまうのですが、録画で見ます。ニュースや情報番組など硬派な番組のみならず、バラエティーも。

下川: 意外ですね。

久田: ドリフターズを見て育ちましたから。実は2年ほど前からたまに出演している番組もあるんですよ。テレビ東京の『ゴッドタン』という深夜番組で、劇団ひとりさんら芸人さんたちにいじられています(笑)。

下川: 知りませんでした(笑)。

久田: 出演してみると、スタッフの人たちの熱意が分かります。

下川: どんなところですか?

久田: まず、本当にお笑い好き。芸人さんへのリスペクトを感じます。そもそもテレビ東京の姿勢そのものが好きなんですよ。大ニュースがあろうが、アニメやお笑い番組を平気で流す。決してぶれない(笑)。

下川: 他局さんのことなので、何とも言えません・・・。だけど、2012年12月16日の総選挙の夜に放送された池上彰さんの選挙特番は話題になったようですね。

(筆者注:『TXN衆院選SP 池上彰の総選挙ライブ』。キャスターを務めた池上氏が、本音で選挙戦を振り返った。故・中川昭一氏の妻である中川郁子氏が、北海道11区で弔い選挙に臨み、運動中に土下座をしたことについて、「いまだに土下座戦術があるんですね。21世紀に驚きです」と酷評。公明党の解説部分では、「創価学会は872万世帯。これだけの人が公明党を支援しているので、大変な組織票を持っている」と語り、テレビではタブーとされがちな両者の関係に言及した)

久田: うん、池上さんの選挙特番は面白かった。

下川美奈さん

下川: 私の立場では番組の良し悪しは言えませんが、テレ東さんらしい番組だったと思います。

久田: ええ。NHKはもちろん、日テレやフジテレビでは考えにくい番組でした。ど真ん中の選挙特番ではなかった。

下川: キー局はNHKさんも含めて、6局あるのですから、それぞれがカラーを出したほうが良いと思っています。私たち日本テレビ報道局の「ZERO×選挙2012」は、逆にど真ん中の開票速報と解説重視でした。番組冒頭の出口調査結果の精度が一番高かったと話題にもしていただきました。最近は選挙特番に限らず、バラエティーやドラマも各局の違いが際立ってきたような気がしますね。

久田: 下川さんこそバラエティーも見るんですか?

下川: もちろん。ドラマもよく見ていますよ。

久田: ドラマと言えば2011年の夏、韓流ドラマを流していることが理由となり、フジが抗議デモを受けましたよね。だけど、TBSは今でも平日の午前10時台に韓流ドラマをバンバン流している。TBSは平気みたいだから、フジだけ抗議を受けたことが不思議ですね。

下川: 竹島問題もありますが、自主規制や萎縮に繋がらなければ良いと思っています。ほかに最近のテレビで気になることはありますか?

久田: まず、3.11以降、顕著になってきたテレビとネットの二極対立のような動き。「既存メディアは安全デマを流す」みたいなことを言う人が増えました。背景にはSNSの普及と浸透もあるのでしょう

下川: 確かに3.11以降の傾向ですね

久田: それと、既存マスコミを頭から全面否定するような「マスゴミ」という呼び方もよく使われるようになりました。こんな人とは議論もしたくない。テレビとネットの親和性については、どう考えていますか?

下川: テレビも新聞も一定の枠があらかじめ決まっています。大震災後の3日間はCMも入れずにニュースのみ流し続けましたが、その場で起きていることを追い続けるしかありませんでしたから、ある種、ネットと同じような報道をせざるを得なかった部分もあります。ただ、その中でも、とくに福島第一原発で何が起きているか、などについては、専門家の見方を交えてお伝えしました。

久田: そうでしたね

下川: だけど、普段は一定の時間内で、ニュースに優先順位を決めて放送します。ニュースの選別と意義づけをします。だけど、何かを意図的に隠そうとしたりすることはないし、あり得ません。

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