こんな"ばら撒き"なら大歓迎だ! 持論を封印してでも応援したい「世界に日本を知ってもらう」ための補助金
〔PHOTO〕gettyimages

 この春、多くのテレビ局や新聞社が「総務省詣で」と「経済産業省詣で」に奔走している。その背景には、「世界にもっと日本を知ってもらう」目的で、テレビ番組や映画、ゲームといったコンテンツの輸出に初めて補助金が支給されることがある。

 本年度分とあわせて「十五ヵ月予算」と呼ばれる昨年度の最後の補正に総額百七十億円を大盤振る舞いする予算が付いており、スポンサーや視聴者をインターネットに奪われて台所事情が苦しくなっていたコンテンツの制作部隊がにわかに活気づいたのだ。

一件当たり支給額は数百万から数千万円!

 補助金の名称は、総務省分が「情報通信利用促進支援事業費補助金」、経済産業省分が「コンテンツ海外展開等促進事業費補助金」という。

 名称や勘定は分かれているが、実際には、霞が関で「犬猿の仲」として知られる両省が珍しく足並みを揃えた珍しいタイプの補助金で、特定非営利活動法人の「映像産業振興機構」(VIPO)が両省分の申請を一括して受け付けて、審査・支給する仕組みになっている。

 補助の対象となるのは、日本企業と海外の放送局が共同でつくる番組の制作費、オリジナルの日本語版コンテンツに字幕などを付けて海外で放送もしくはネット配信できるように衣替えする費用(ローカライズ費用)、そして現地でのキャンペーン費用の三つ。それぞれの一部について、要件を満たせば、補助金が出る。

 予算は基金に積まれており、審査を通れば随時支給されるが、すでに本格的な審査も始まっているという。一件当たり支給額は「数百万から数千万円前後になる見通し」(総務省)だ。

 補助金設置の直接のきっかけは、東アジア市場を中心に韓流ドラマが世界のコンテンツ市場を席巻していることだ。実は、こうしたドラマがサムソンやヒュンダイといった韓国メーカーの資本で制作されており、番組の中で韓国製品をたくさん登場させて、韓国製品の輸出の拡大に繋げているケースが少なくない。

 しかも、日本が韓国ドラマを大量に買って放映しているため、韓国ドラマは日本向け輸出で制作コストを回収した後、格安で東南アジアなどの多くの国々に売り込むことが可能な状況にあるという。

 一方で、中国政府の後押しするニュース専門チャンネルが世界各地の高級ホテルのケーブルテレビに盛んに進出している。対抗上、政府は数年前から、NHKの国際放送に年間数十億円の予算を付けて日本をアピールする事業を委託してきたが、とても太刀打ちできない状況に陥っている。

 以前は、政府開発援助(ODA)の予算で相手国に資金を供与しており、そうした資金の一部で「おしん」のような日本製テレビ番組を購入してもらえた時代もあったが、長引く財政赤字に伴う緊縮財政が響いてこちらの予算も縮小が繰り返されており、振興の道がすっかり閉ざされていた。

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