大研究 なぜ日本の企業はこんな採用をしているのか ユニクロ・楽天・グーグルほか 急増中!「英語ができて、仕事ができない」若手社員たち

2013年04月30日(火) 週刊現代

週刊現代経済の死角

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 現場で使わないにもかかわらず、英語力を求める企業側にも問題はある。『日本人の9割に英語はいらない』の著者で、米マイクロソフト日本法人社長も務めた成毛眞氏は言う。

「ユニクロをバカにするわけではないが、服を売るために英語が必要ですかね。たとえば日揮のように複雑なプラントをつくるのなら必要ですが、ショップ店員なら、立派な英語なんて絶対に必要ない。英会話程度で十分です。そもそもユニクロは、どれだけ英語のできる社員をとっても3年以内にその多くが辞めてしまうじゃないですか。

 私の娘は商社に就職したんですが、英語力に自信がない彼女に『英語を勉強するくらいなら、下手でもゴルフを覚えた方がましだ』とアドバイスを送りました。実際、入社前にゴルフを覚えた娘は接待の場で活躍しています。娘にも『現実的なアドバイスだった』と感謝されましたよ」

むしろトラブルのもと

 先ほど取引先とトラブルを起こす例を挙げたが、「英語だけ社員」は社内のマネジメントに失敗するケースも多い。大手鉄鋼メーカーの若手社員が言う。

「英語ができて、自分の能力に自信がある社員ほどダメになりますね。僕が入社した'11年は、40人ほど同期がいるのですが、すでに2人辞めて4人が鬱になっています。辞めた同期はアメリカの大学院を卒業してMBAまで取得していた」

 同社では、新人は各地の工場勤務となり、3~4年経理や生産管理を担当する。工場に大卒は彼らだけで、管理責任者も地元雇用の叩き上げだ。英語エリートは彼ら「非エリート」との付き合い方がわからない。

「本社から月毎に生産目標が下されるんですが、それはいつも、普通にやっていたのでは達成できない値です。職人さんに無理を言い、休日勤務やサービス残業をお願いして、どうにかクリアしている。そんな現場で必要なのは英語ではなく、人情や謙虚さです。自分には能力があるなどと思っていると、とてもじゃないが上手くいきません」(同前)

 食品メーカーに昨年入社したB君も、会社内での対人関係に苦しんでいる。

「40人ほどいる同期の中で、僕は唯一TOEICが900点以上でした。ところが、自分で言うのもなんだけれど、まったく仕事ができない(笑)。グローバル人材と見込まれた新人は、うちでは人事か経理に配属されることが多く、僕も人事に配属されたのですが、正直、異動や出向社員に関する資料づくりや事務作業などに興味がないんです。気遣いもできない。減俸を社員に告げなければならない場面で、『給料がトゥーマッチですね』と言ってしまい、相手を激怒させたこともある。

 英語力を買ってもらったのはありがたいですが、僕が英語ができるのは、高校まで親の仕事の都合で海外にいたから当たり前なんです。それなのに、グローバル人材などと言われて人事部に配属されても困る」

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