大研究 なぜ日本の企業はこんな採用をしているのか ユニクロ・楽天・グーグルほか 急増中!「英語ができて、仕事ができない」若手社員たち

2013年04月30日(火) 週刊現代

週刊現代経済の死角

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就活のバカヤロー』の著者で、企業の採用活動に詳しいジャーナリストの石渡嶺司氏が言う。

「ここ3~4年の間に、採用に英語力を重視する企業が一気に増加しました。インフラや飲食、メガバンクなど、ドメスティックで英語は使わないだろうという業界にまで、その傾向は広がっています。何とか海外に活路を見出したいと思っている経営者が、闇雲にグローバル人材を欲しがる印象がある」

仕事で本当に役立つものとは

 だが実際の仕事の現場では、この「グローバル人材」がクセ者となるケースがある。たとえば、'12年に大手損害保険会社へ入社したA君。彼の同期が語る。

「A君は、グローバル採用という制度を利用して、ボストンで採用されたUCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)の卒業生でした。その肩書通り、確かに英語はペラペラで、TOEICの点数も同期40名のうち、トップの940点だった」

 当初A君は、同期だけでなく、上司からも「あいつのスペックはすごい」と期待されていた。しかし、入社後まもなく始まった、研修センターでの集団行動からボロが出始めた。

「まず、敬語がまったく使えない。研修担当の社員に注意されると『向こうには敬語がないから』と言い訳し、ふて腐れる。会議中にも、『頭の中では英語で考えているから、日本語がすぐに出ない』などと言っては周囲をいらつかせ、夜の宴会で社員から『ウーロンハイを作ってくれ』と言われると、『ぼくは店員じゃないです!』とキレるといったありさまでした。上司からの評価もガタ落ちです」

「グローバルかぶれ」の典型のようなA君。研修を終えた後は、島根配属が決まった。しかし、彼にはそれが我慢ならなかった。「俺はグローバル人材だ。田舎の中小企業のおっさん相手に営業をするために入社したんじゃない」と言い放ち、島根の地に一歩も足を踏み入れぬまま会社を去ったという。

 全世界に現地法人をもち、就活生にも「グローバル企業」の代表格として扱われるグーグル。だが、同社日本法人の中堅社員も、グローバル人材を自任する新人ほど使えないと言う。

「グーグルの場合、そもそも社員は英語を話せることが前提。採用活動の段階で、英語のみのグループディスカッションや課題を与え、ビジネスの場で英語を使えない人をふるい落としていますからね。

 しかし、『グローバル企業』に憧れて入社した新人のなかには、日本の企業文化がわかっていない者が多い。たとえば私の部署のイギリス生まれイギリス育ちの女子社員。当然、英語もペラペラですが、自己主張が強すぎる。彼女の仕事は広告営業。広告を載せてもらうのが仕事ですから、取引先の接待やご機嫌伺いも必要になる。そういった場に、英語はいらない。むしろ日本特有の遠慮や謙遜が必要ですが、彼女には一切それができない。飲み会でも会議でも、ずっと自分の意見を述べ続けている。当然、煙たがられますよ」

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