経済の死角

大研究 なぜ日本の企業はこんな採用をしているのか ユニクロ・楽天・グーグルほか 急増中!「英語ができて、仕事ができない」若手社員たち

2013年04月30日(火) 週刊現代
週刊現代
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 就活が本格化すると、こぞってTOEICの教材を買い込む学生たち。日本の歴史や文化をよく知らないまま、英語ができるだけの「グローバル人材」となった若者たちに、仕事ができるわけはない。

グローバル人材が欲しい!

 楽天のある幹部が言う。

「一度、英語が堪能だという新入社員に、海外の取引先に電話をさせたことがあった。一見スムーズにやりとりしているように見えたのですが、あとで相手の担当者から私のところに電話がかかってきた。電話先の相手は中国人で、英語はできるがネイティブではなかったため、内容が全く通じていなかったんです。そういう人と話すとき、ましてや電話では、簡単な単語を使ってゆっくり話すものですが、その新人にはそうした常識がなかった。話が通じているのかわからないまましゃべり続けるなんて論外です。コミュニケーション能力がないんでしょうね」

 最近、日本企業で「英語はできるが仕事ができない」社員が急増している。

 '12年7月から社内公用語を英語に完全移行し、'13年入社の新入社員にも、入社の必須条件としてTOEIC750点(990点満点)を課している楽天も、前述のようにその例外ではない。ちなみにTOEIC受験者の平均点は570点。「点数」としてはかなり高いハードルを設定しているはずなのに、皮肉にも「使えない社員」が続々と入社している実情がある。

 楽天幹部が続ける。

「就職のためにTOEIC対策をして、高得点をとりましたといった感じの新入社員が多い。ウチも有名企業になったからか、中途半端に安心感を求めて入ってくる者が増えたんですよ。昔は『楽天で経験を積んで起業してやる』という鼻っ柱の強い奴がいたが、いまの新入社員は確かに英語はできるが、みんなこぢんまりしている。彼らにとって、英語は社内で身を守る道具にすぎないんです」

 楽天と同じく英語を社内公用語にしたユニクロの場合はどうか。会長兼社長・柳井正氏はインタビューに対して、優秀であっても英語ができない学生は「いらない」と断言したが、'11年にユニクロに入社した元店長は、「ユニクロの英語力」に疑問を呈す。

「僕は、会社説明会で『これから世界一を目指していく』『グローバル人材を求めている』と先輩社員が熱く語っている姿に惹かれ、入社しました。しかし、いざ配属になった店舗では、英語なんて一切使わなかった。海外へ行けるような社員は、現場で結果を残し、試験をクリアし続けた一握りの人だけ。それがユニクロの現実です」

 グローバル化を標榜し、英語力重視の社員教育を進めている企業は、楽天、ユニクロだけではない。日産、新日鉄、明治安田生命、東京海上日動、ブリヂストン、JR東日本などの大手企業をはじめ、2500社以上の企業が、社員にTOEIC受験を義務づけている。

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