中国
素っ気ない言葉の羅列に見えて、実は奥深い意味を持つ、中国人民解放軍の国防白書

〔PHOTO〕gettyimages

 先週、『対中戦略』(講談社刊)を上梓した。新たな隣国の"皇帝様"となった習近平が率いる中国の実態と、日中関係の展望について、かなり突っ込んで書いたので、ご高覧いただければ幸いです。

 さて、4月16日、中国が2年ぶりに国防白書を発布した。日本が毎年夏に出している豪華な国防白書に較べたら、目次を含めてわずか15ページ足らずの素っ気ないものだ。

 中国人民解放軍はそもそも、「養光韜晦」(能ある鷹は爪を隠す)をスローガンにしてきたので、ホンネを言えば、このような白書は出したくない。それでも、「不透明な自民解放軍」とのイメージを払拭すべく、1998年以来、不定期に7回出してきた。前回は2011年3月バージョンで、今回出されたもので8回目となる。

 全体を見渡して印象的だったのは、中国軍の最大の"敵"であるアメリカに対する非難のトーンが薄れたことだ。前回2011年バージョンでは、冒頭から強烈なアメリカ批判が列挙されていたが、今回はそれらがスーッと抜け落ちている。

 これは、「ひとまずアメリカとは敵対しない」という習近平政権のメッセージと受け取ることができる。その代わりに、日本を名指しで非難する一文が加えられた。

 以下、特筆すべき内容をピックアップしてみる。

「日本は釣魚島の問題で、紛争を作り出している」

【一. 新たな形勢、新たな挑戦、新たな使命】

 アジア太平洋地区は、日増しに世界経済発展と大国の戦略の確執の重要な舞台となっている。アメリカはアジア太平洋の戦略を変更し、それに伴って地域の情勢も大きく変更された。

 ある国は、アジア太平洋の軍事同盟を深化させ、軍事的存在を拡大させ、頻繁に地域の緊張を作り出している。個別の隣国は、中国の領土主権と海洋権益に干渉し、問題を複雑化させ、その行動を拡大。日本は釣魚島の問題で、紛争を作り出している。

 恐怖主義(テロ)、分裂主義、極端主義の「三ツ股勢力」の脅威が増している。"台湾独立"分裂勢力と、その分裂活動は、依然として両岸関係と平和的発展の最大の脅威となっている。

 われわれは「人不犯我、我不犯人、人若犯我、我必犯人」(他人が犯して来なければ自分も他人を犯さず、他人が自分を犯して来れば、自分も必ず他人を犯す)の方針を堅持し、国家の主権と領土の防衛を維持し保護するための一切の措置を取る。

【二. 武装能力の建設と発展】

 中国の武装能力は、人民解放軍、人民武装警察部隊、民兵組織に拠る。

 陸軍の機動作戦部隊は18の集団軍と独立した作戦師(旅)団から成り、兵力は85万人である。審陽軍区には第16、39、40集団軍、北京軍区には第27、38、65集団軍、蘭州軍区には第21、47集団軍、済南軍区には第20、26、54集団軍、南京軍区には第1、12、31集団軍、広州軍区には第41、42集団軍、成都軍区には第13、14集団軍がある。

 海軍の兵力は23.5万人である。北海、東海、南海の3艦隊を有し、2012年9月には初の航空母艦"遼寧"を就航させた。中国が空母を発展させていくことは、強大な海軍を建設し海上の安全を確保する上で、大変意義深いものがある。

 空軍は兵力39.8万である。審陽、北京、蘭州、済南、南京、広州、成都の7軍区にそれぞれ空軍を有し、他に落下部隊を有している。

 第二砲兵部隊は中国の戦略の中心であり、核兵器とミサイルを担当する。「東風」系列の弾道ミサイルや「長剣」系列の巡航ミサイルを装備している。

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