ドイツ
脱税天国に隠される秘密資金情報を暴露した「オフショアリーク」の衝撃! 
タックスヘイブンとして知られる英領ケイマン諸島 〔PHOTO〕gettyimages

 世界各地の10ヵ所のタックスヘイヴンに資金を隠している人間の情報を、誰かがメディアにリークしたのが去年のことだったらしい。この秘密データには、170ヵ国・13万人の名前が載っているという。タックスヘイヴンはすべて海外なので、データはオフショアリークと名付けられている。

 それにしても、一連のウィキリークス事件以来、内部の者がデータを売るナントカ・リークが大流行りだ。この風潮を、社会の透明度が増したと見るか、お金のために会社を裏切る人間が増えたと見るかは、人それぞれだと思うが、いずれにしても、油断も隙もない世の中になったものだ。

 今回のオフショアリークのデータは250万の書類からなり、計260ギガバイトという巨大なものだ。データを入手したメディアの国籍は46ヵ国にも及び、『ワシントン・ポスト』『BBC』『ガーディアン』『ル・モンド』など、世界の大メディアが名を連ねている。ドイツのメディアも、もちろん入手している。

世界中から黒いお金が集まる脱税天国

 ドイツでは4月4日、そのデータについての報道がなされた。つまり、私たち普通の市民は、ようやく初めてそのデータの存在を知ったのだが、なんだか歯に物の挟まったような報道という印象が強かった。

 たとえば、データに名前が載っていた人のうち、メディアが発表したのはただ一人、すでに2011年に亡くなっている資産家だけ。生きている有名人もたくさん載っているだろうに、そういう人の名前を知りたいものだ。

 そういえば、日本ではこの話はほとんど話題になっている様子がない。日本のメディアはデータを入手しなかったのだろうか。あるいは、日本の投資家は、今回データが流出したケースとあまりかかわっていないのかもしれない。

 タックスヘイヴンというのは、租税回避などで投資家にとって極めて良い条件を提供し、資本を集めている国だ。有名なものだけでも、バミューダ諸島、クック諸島、バハマ、グレナダ、パナマ、そして、イギリスの海外領であるケイマン諸島やヴァージン諸島などがある。そこに郵便箱一つの会社を設立し、ゴースト会社経由で商売をしているケースが多い。

 これらタックスヘイヴンの国々は、資金隠しやマネーロンダリングにはもってこいなので、もちろん黒いお金も集まってくる。しかし、脱税天国の法律では、脱税やマネーロンダリングで預金者を取り締まることはなく、一方、本国の税務署や検察が自国の人間を取り締まりたくとも、遠いし、複雑だし、情報はないしで、技術的に大変むずかしい。

 遠くの島国ばかりではなく、モナコ、リヒテンシュタインなどもれっきとしたタックスヘイヴンだ。スイス、オーストリア、ルクセンブルク、シンガポール、ベルギーでも、納税を逃れるいろいろな方法が存在する。こうしてみると、グレーゾーンの金融業は世界中で賑わっている。

 奇妙なのはアメリカ合衆国のデラウェア州。この小さな州は特殊な会社法(州法)を持っていて、ここに登記上の本社を置くと、様々な特典がある。だから、ニューヨーク証券取引所に上場している会社の約半分が、デラウェア州に本社を持つという。

 ニュースに、何の変哲もないビルが映った。この1軒のビルに20万以上の大きなコンツェルンが本社を置いているというから驚きだ。しかも合法。こういう話になると、私にはよくわからない。多くのタンカーなどがたいていパナマ籍であるのと、おそらく同じ理由なのだろう。

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