インドネシア取材記 ~現地のニーズと製品開発
文/弘兼憲史(漫画家)
連載30年を迎えた『島耕作』シリーズ。作品の舞台となる世界各国の取材を続ける作者・弘兼憲史が活況を呈するアジアの現在を語ります。現代ビジネスでは今後、NHK-BS1『島耕作のアジア立志伝』最新情報や、『島耕作』シリーズを題材にした、家電業界の潮流を解き明かすビジネスコラム、無料漫画公開など豊富なコンテンツをお届けしていきます。
経済の中心地であるSCBD(ジャカルタ市内のビジネスエリア)の高層ビル群

島耕作にならいインドネシアの首都・ジャカルタへ

 「見てください、あの沖待ちのコンテナ船の数。この国の課題は物流の安定です。好景気に沸くインドネシアでは物流を制した者が勝つんです」

 インドネシアの首都・ジャカルタへの着陸準備を始めたGA885便。たまたま隣り合って会話を交わした商社マンが指さす先には、港の外で沖待ちをしている数十隻の貨物船の姿があった。

 チャイナリスクを避けて多くの企業が進出しているインドネシアだが、インフラ整備が追いつかず、港には数多くのコンテナが積まれたままになっている。港の沖合には、運搬してきたコンテナを輸送することができないため入港できず、沖待ちをしている貨物船が行くあてもなく停泊しているのだ。

地元の市場を見学。漫画の取材では現地の人々の生活感を感じることを重視している

 現在、週刊漫画誌「モーニング」で連載している『社長 島耕作』。作品の中で島耕作は、尖閣問題から派生するチャイナリスクを避け、インドネシアへの進出を決めた。その島耕作にならって作者である私もインドネシアに取材に訪れたのだった。

 インドネシアは人口約2億4000万人。そのうち20歳以下の若年層が4割という「若い国」であるこの国の人口ボーナス期は、2030年まで続くと見られている。経済成長率はここ数年は毎年6%を堅調に維持し、一人あたりの年間GDPは、消費が爆発する目安と言われる3000ドルを超えた。

 一方、家電普及率はカラーテレビ63%、ワンドア冷蔵庫31.6%、二槽式洗濯機9.3%とまだ低く、莫大な需要が見込まれるため、家電業界にとって無視できない市場となっている。(*家電普及率はパナソニック マニュファクチャリング インドネシアのデータによる)

 今期で社長を退任する意向を固めた島耕作は、社長最後の仕事としてインドネシアを選んだ。そして、躍進する韓国メーカーへのキャッチアップと日本メーカー勇躍の布石を打つべくジャカルタへ降り立った---。

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