経済・財政
倫理的には「悪法」で経済的には「アホ法」の、消費税還元セール禁止特措法
〔PHOTO〕gettyimages

イオン岡田氏、ユニクロ柳井氏が正しく、政府はおかしい

 来年4月に予定されている消費税率の引き上げに対応して、「消費税還元セール」を禁止する特別措置法案が国会に提出され、論議を呼んでいる。

 甘利明経済再生担当大臣は、閣議の後の記者会見で、

 「『消費税還元セールはやめてください』というお願いをしている。消費税は還元するものでなく、納めるものだ」

 と述べて、理解を求めた。当たり前のような、訳の分からないような、いかにも政治家らしい談話だが、気持ちは何となく伝わる。消費税を悪者イメージにして欲しくないのだろう。ただし、一方では、

 「価格設定について、いくらで売らなければいけないとはまったく申し上げていない。経済原則の中で価格を下げ、消費者に安く商品を提供しようというのは、自由にやってもらえばよい」

 とも述べている。売る側の価格設定を規制するものではないということらしい(当たり前だ!)。それでは、何がいけないというのか。

 推測すると、「消費者が買い物をする際に消費税がかからない」という誤解を与えること、あるいは、「消費税還元セール」と銘打って、消費税率引き上げを材料にした宣伝活動をすることがいけないのだろう。

 しかし、なぜ「消費税還元セール」はいけないのか。

 大手スーパーマーケット・イオンの岡田元也社長は「(大手スーパーが)不当なことを取引業者にするのであれば、きちんと現行法で排除すればいい」とした上で、「(法案は)論外」と述べた。

 カジュアル衣料「ユニクロ」を展開するファーストリテイリング社の柳井正会長兼社長に至っては「(政府が)法律を作って何かするということ自体が理解できない。それで先進国かなと思う」と痛烈に批判した。

 率直にいって、岡田氏、柳井氏ら小売業の社長たちの言い分が正論であり、100%正しいと筆者は判断する。

 現実的には、「政府の考え方に沿って、還元セールではなく普通のセールで対応したい」(セブン&アイ・ホールディングスの村田紀敏社長)というあたりが、多数派かつ優等生的な落とし所になりそうに思えるが、政府の言い分のどこがおかしいのかを吟味しておこう。

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