ブルーバックス前書き図書館
2013年04月18日(木)

『不完全性定理とはなにか』
ゲーデルとチューリングの考えたこと
竹内薫=著

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正しくても常に証明できるとは限らない!

 「証明」を深く考察した「不完全性定理」は、真な命題は必ず証明できるはずだと考えていた数学界に、大きな衝撃を与えました。しかし「証明が不可能であることを証明する」ことは数学者にとっても難題です。この難題を、二人の天才はどのように解決したのでしょか。

プロローグ 「心優しきプログラマーさんの悩み」

 あ、パソコンがフリーズしちゃった! 全身から血の気が引いてゆく。背筋に悪寒が走る。なにしろ、徹夜の作業がすべて消えてしまう可能性があるのだ。

 実際、一昔前のパソコンだったら、フリーズして、それでおしまいだった。泣こうが喚こうが、消失したデータは返ってこない。仕事を数分おきにセーブしていなかった自分の責任だ。

 ちょっとフリーズの極限状況を考えてみよう。

 たとえばあなたが株をやっていて、運悪く「大暴落」の瞬間に遭遇してしまったとしよう。あなたの財産はほとんどが株式になっている。今すぐに手を打たないと大変なことになる……と、被害を食い止めるために株を売ろうとした瞬間、あなたのパソコンがフリーズした! もはや、御愁傷様としかいいようがない、最悪のシチュエーションだ。呪ってやる~。

 まあ、パソコンをつくっている会社も、これほどではないにしろ、フリーズの怨念の深さに気づいたのか、データを自動セーブする仕組みを開発したりして、人々が運命の波に翻弄されるのを避けようとしてきた。

 おいおい待てよ、竹内薫は、いったい何が言いたいのか。

 いや、もちろん、フリーズの背後にある問題について考えてみたいのだ。それが本書のテーマと深く関係しているから。

 パソコンは「プログラム」で動いている。プログラマーは「C」とか「BASIC」とか「LISP」といったプログラミング言語を使っている。日本語でも英語でも、同じ内容を伝えることができるのと同じで、どのようなプログラミング言語を使っても、パソコンに命令を伝えることが可能だ(ただし、言語によって得手不得手があり、また、できないこともある)。

 みなさんがよく使うパソコンソフトやスマホのアプリなども、みんなプログラムの集まりにすぎない。

次ページ  で、このプログラムの正体は何…
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