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国民的大論争第5弾 出生前の「遺伝子検査」(4月1日スタート) 胎児の「病気」「才能」はここまで分かる

 今はまだ「新型検査で分かるのは3種類の染色体異常だけ」といわれている。だが実際には、様々な病気が胎児の段階で、いや、妊娠前でさえ診断できるのだ。未だ報じられていない最前線をスクープする。

本当は調べれば分かるのに

「新型出生前検査の受け付けを始めた4月1日には10件の問い合わせがあり、うち6人の方が遺伝カウンセリングの予約をされました。検査を行うかどうか、遺伝カウンセリングを受けた後、決めることになります」

 こう語るのは、北海道大学病院産科・外来医長の山田崇弘医師だ。

 妊婦からの採血だけで、ダウン症など胎児の染色体異常が高精度で分かる、新型出生前検査。今月1日、ついに全国の認定医療施設で開始された。すでにカウンセリングを終えて、採血を受けた妊婦も出てきている。彼女たちの検査結果がわかるのは、約2週間後の今月中旬である。

 本誌では、過去4回にわたる出生前検査特集記事で、母親、医師、そして各界の識者や著名人の意見などを報じてきた。第5弾となる今回は、新型出生前検査を実施する全国17ヵ所の医療施設にアンケートを行った。新型検査には「安易な命の選別につながる」という指摘も根強い。だが医師たちの回答から浮かび上がったのは、妊婦たちの強く切実な要望だった。

「電話での問い合わせは、最近3ヵ月間で100件前後。昨年8月末、最初に新型検査のことが報じられた時期から多くのお問い合わせを受けており、(当院は)患者さんからのニーズを実感している施設でもあります」(東京女子医科大学・小川正樹准教授)

「多数の問い合わせを受けています。この4月で50人程度がカウンセリングを受ける予定です」(昭和大学産婦人科・関沢明彦准教授)

「産婦人科外来への直接の問い合わせが連日30件程度、病院事務へのものも含めると50~60件ほどあります」(藤田保健衛生大学医学部・西澤春紀准教授)

 まさに堰を切ったように、各施設には問い合わせが殺到しているのである。

 実はこの新型検査は、病院の通常の診療としてではなく、建て前上「臨床研究」という名目で実施されている。あくまで「研究」である以上、もちろん保険の対象とはならず、約20万円の検査費用は妊婦の自己負担。また、妊婦からの直接の申し込みは受け付けておらず、受診には他の病院からの紹介状が必要というところも少なくない。

 しかし、新たな技術が生まれれば、それを使いたいと欲するのが人の性であり業である。事実、これだけハードルがあるにもかかわらず、希望者はすでに数百人規模で押し寄せている。前出の北海道大学病院・山田医師が説明する。