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ITトレンド・セレクト
2013年04月18日(木) 小林 雅一

グーグルや百度が注力する「ディープ・ラーニング」とは何か?

最新の神経科学を導入して再復活

 しかし一部の研究者たちは、ここでも恐るべき執念を見せてニューラルネットの研究を続行し、やがて最新の神経科学の成果を導入することによって、2000年代半ばに再び復活を遂げた。そこでは「スパース・コーディング(Sparse Coding)」と呼ばれる手法が成功の鍵を握っていた。

 英語の「Sparse」とは「少量」を意味する形容詞だが、スパース・コーディングとは要するに、ニューラルネットに入力される大量の情報から、概念形成に寄与する「ほんの少量の、しかし本質的な情報」だけを抜き出してくる技術である。

 これによって隠れ層をより多層化しても、現実的な時間内で情報処理ができるようになった。この最新のニューラルネットでは、隠れ層の1層目から2層目、2層目から3層目へと情報が深部にまで伝達されるに伴い、たとえば何かの画像であれば、点から線、線から輪郭、輪郭から部分、部分から全体のイメージへと、概念がより高次元へと段階的に引き上げられる。

 あるいは「学習が徐々に深められる」と言ってもいいだろう。この点を指して「ディープ・ラーニング(深い学習)」と呼ぶのだ。

 冒頭でも紹介したように、ディープ・ラーニングはグーグルをはじめとした巨大IT企業が今、最優先課題として取り組んでいるAI技術である。最近では、グーグルがスタンフォード大学と共同開発したネットワーク型コンピュータが、ディープ・ラーニング技術を使ってユーチューブ上にある大量の動画から「猫」を抽出し、そのイメージ(概念)をぼんやりとコンピュータ画面上に表示することに成功した。

既に実用化され、目覚ましい成果を上げている

 そう言われてもピンとこないかもしれないが、ディープ・ラーニングはそうした研究室レベルを超えて、今や実際の製品にも応用され、目覚ましい成果を上げている。たとえばグーグルの音声検索や、アップルの音声アシスタント「Siri」などの音声認識技術にはディープ・ラーニングが導入されている。

 これらを実際に使われた方ならお分かりかと思うが、現在の音声認識技術は半年、いや数ヵ月の間にも目に見えて精度が上がっていく。これは、まさしくディープ・ラーニングの凄さを物語っている。

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