日銀が17日の金融政策決定会合で追加の金融緩和策を決めた。
「やらないよりはマシ」な緩和策であるには違いない。だが、ここに至る経過をみれば、日銀が前代未聞とも言える、とんでもない迷走を続けてきたのはあきらかだ。

発端はそもそも昨年10月に遡る。
日銀は昨年10月30日の金融政策決定会合で「金融市場が安定してきた」と判断。金融市場に対する非常時の資金供給手段である「企業金融支援特別オペ(通称・モンスターオペ)」を今年3月末で打ち切ると発表した。
つまり、金融政策の方向として、緩和打ち止めを決めた。
日銀内でさえ反対論が出ていたにもかかわらず、打ち切ったのは白川方明総裁が断固打ち切りにこだわったためだ。当時、日銀の有力OBは「日銀は巷の声が耳に入っていない。特別オペが利用されなくなったからといって、別にそのまま残して置けばいいだけの話だ。無理に打ち切る必要はない」と私に語っていた。
ところが、わずか1ヵ月後の12月1日には突然、臨時の金融政策決定会合を開いて、固定金利共通担保方式の「新型オペ」の導入を決める。デフレが止まらず、政府が11月の月例経済報告で「デフレ宣言」したために、日銀が追い詰められ、やむなく緩和方向に舵を切り直したのである。10月の判断が誤りだったことはあきらかだった。
機動性こそが金融政策の武器
今回の追加緩和策も同じ延長線上にある。
というのは、モンスターオペの打ち切り期限が3月末に迫る一方、デフレは止まらず、このまま予定通り打ち切ってしまうと、これまで手当て出来ていた企業の資金繰りが再び苦しくなりかねない。手をこまねいて傍観していれば、政府から「日銀はなにをやってるんだ」と批判が再燃する恐れもある。そこで今回、新型オペの資金供給枠を従来の10兆円から20兆円に拡大したのである。
なぜ、こんな「みっともない事態」(市場関係者)になったのか。
日銀は昨年10月の打ち切りで二重に間違っていた。まず金融市場が安定してきたという判断自体が時期尚早だった。次に昨年10月の時点で「将来(ことし3月)の引き締め」を決めてしまった。こちらのほうが、問題としてはより深刻である。
景気や物価の先行き見通しは、日銀といえども間違える可能性はある。それは百歩譲って、神様でないから仕方がない面もある。だが「将来の引き締めを先取りして、いま決めてしまう」というのは、そもそも金融政策の根幹が分かっていない。
財政政策は政府が立案し国会が議決しなければ決まらず、さらに実際に予算を支出するまでにはもっと時間がかかる。タイムラグである。これに対して、中央銀行がすべての権限をもつ金融政策は「決めれば直ちに発動できる」ところに最大の利点がある。景気が悪いと思ったらすぐ緩和し、逆に良くなってくると思えば、すぐ引き締められる。
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