「相手」によって酒も飲む、憲法96条改正問題では中国ばりの「遠交近攻」---アベノミクスと安倍首相の成長戦略とは
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 筆者が事務方を担当する田原総一朗氏を囲む政治家、官僚、そしてジャーナリスト総勢15人の月1回の昼食勉強会を、この15年ほど続けている。

 第2次安倍内閣が発足して100日が経った。昨年末以来の「アベノミクス」によって円安・株高が進んだところに、日本銀行の黒田東彦新総裁の下での金融政策決定会合(4月4日)で東京株式・為替市場関係者の予想を遥かに超えた「異次元の金融緩和」策が打ち出された。

  "黒田効果"はいま留まるところを知らぬ勢いである。日経平均株価は大型連休明けには1万5,000円台をクリアするのはほぼ間違いない。為替も1ドル=100円突破が近い。

安倍政権の成長戦略は安倍首相自身の成長

 2月22日のオバマ米大統領との首脳会談で日米同盟再構築を確認したうえで自民党内の抵抗勢力を押さえ込み環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉参加を正式に表明し、沖縄県宜野湾市の普天間飛行場移設問題でも辺野古沖合埋め立て申請を県側に行なうなど、強かな外交・安保戦略を展開する安倍晋三首相。内閣支持率も70%前後という高止まり状態である。

 5年余前と比較しても見違えるほど変容した安倍首相を、どう見ているのか。冒頭の勉強会参加者のコメントの中に、それはあった。某新聞社の秀逸編集委員が次のように語ったのだ。

 「アベノミクスの三本の矢の一つが成長戦略です。その意味では、安倍政権の成長戦略は安倍さん自身が成長したということじゃないですか」

 まさに至言である。では、安倍氏はどれほど成長したのだろうか。まず「使い分け」である。わかりやすい事例を紹介する。

 従前の安倍氏---官房副長官、自民党幹事長、官房長官時代---は酒席でもアルコールを嗜まないことで知られていた。筆者自身の経験で言えば、最初の乾杯のビールを作法どおり舐めるだけだった。ところが、久しぶりに酒席を共にした昨春以降、体調に自信を取り戻したこともあってワインを大振りのグラスで2、3杯飲むようになったのには驚いた。

 そして、総理・総裁に就任した昨年12月からは、料理にもよるが、基本は「相手」によって飲むものを変えているのである。フランス産の赤ワイン、シャンパン、日本酒の地酒などを飲むのは、相手に面識があっても首相就任後初めてという場合だ。一方、側近の秘書官グループや気心知れた数人の政治記者などの場合は、トマトジュースのビール割りか炭酸水・ペリエである。

 食事は完食、酒も飲むことで、さりげなく「健康不安説」を一蹴して見せるのだ。会食相手に「やはり言われているように、安倍さんは体調がいいんだ」と印象付ける。が、その必要がない相手との食事では、健康に留意して、せいぜいトマトジュースのビール割りなのだ。こうした「使い分け」は、かつての安倍氏には考えられなかったことである。

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