話題の本の著者に小幡 績 「アベノミクス」は若者を苦しめる。 礼賛するわけにはいきません。

2013年05月01日(水) フライデー

フライデー賢者の知恵

upperline
平易な言葉で経済を解説する小幡氏

 でも、完全な誤解なんですよ。そもそもなぜインフレを喜ぶのか。インフレはモノの値段が上がって困るだけ。「モノの値段が上がれば売り上げが増えて、企業が儲かるから給料も増える」という理論は、間違っている。因果関係が逆なんです。景気がよくなるから給料が増え、消費が増え、売り上げが伸び、値上げも可能になるんです。

 また、円安になれば、輸入品の価格は確実に上がる。庶民の生活は苦しくなります。円安になって牛肉の輸入価格が上がり、エネルギー資源の輸入価格が上がり、ガソリン代も電気代も上がる。そうなると、庶民の味方の牛丼ひとつをとっても、牛丼自体の値段が上がるか、牛丼チェーンが儲からない店舗を縮小することになるから、皆さんにとっても、得をする話ではないんですよ。牛肉は米国からの輸入規制が緩和されて、値下がりするはずだったのにね。

 円安は、自動車や電機など一部の大企業にはメリットがあるけれど、日本経済を支えている内需関連の中小企業にとっては、輸送費や電気代が上がるなど、マイナスのほうが大きいのです。弱いものに大きな被害を与えるのが、リフレ政策なんですよ。

守られるのは中高年だけ

—円安が進むと、海外旅行で安く買い物ができなくなる、円安はよくないな、というのはわかります。でも、安倍政権で株高が進んでいます。これは喜んでもいいのでは?

 たしかに日経平均が高値更新なんてニュースを聞くと、景気がよくなっている気になりますが、日本では「株価が上がったから消費を増やす」という人は少数派なんです。

 アメリカとは違います。だから、株高になっても消費が活発になる程度はごくわずか。いま、街が活気づいて見えるのは、株高が原因ではなく、民主党から自民党に替わり、閉塞感が解消されたため、なのではないでしょうか。それに、いまは株価が上がっていますが、さらに株価が上昇してバブルになれば、そのバブルが弾けたときが怖いのです。

—要するに、円安で儲かる大企業と、株高で潤うおカネ持ちだけが得をするのですね。期待して損をしました。

 インフレになれば、金利が上がる。金利が上がれば、国債が暴落することになる。そうなると、国債を大量に保有する金融機関が大打撃を受け、日本経済全体が壊滅的な被害を受ける可能性もあるのです。アベノミクスは、一歩間違えばとんでもない事態を招きかねない、極めてリスクの高い政策なのです。

次ページ —「経済の本は難しい」と敬遠し…
前へ 1 2 3 次へ

このエントリーをはてなブックマークに追加 RSS
関連記事

最新号のご紹介

underline
アクセスランキング
1時間
24時間
トレンドウォッチ
編集部お薦め記事