佐藤優 インテリジェンス・レポート
「休戦協定『全面白紙化』によって、北朝鮮は何を狙っているのか」

佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」Vol.011より
【はじめに】
今回、北朝鮮情勢については、北朝鮮の内在的論理が浮き彫りになるように、北朝鮮側の公式表明を長く引用しました。北朝鮮が決して「わけのわからない国」ではないことが、この分析メモから理解していただければ幸甚です。国連武器貿易条約は、透明な武器輸出しかできない日本の軍産複合体にとっては、大きなビジネスチャンスです。今後、日本の経済は軍事化していくと思います。これも新・帝国主義時代の特徴です。
今回は、読書ノートを手厚くしました。特に雑誌論文に、最近は重要な内容のものが多いです。

【目次】
―第1部― インテリジェンス・レポート
■分析メモ(No.25)「休戦協定『全面白紙化』によって、北朝鮮は何を狙っているのか」
■分析メモ(No.26)「国連武器輸出条約の採択」
―第2部― 読書ノート
読書ノート No.25~No.29
―第3部― 質疑応答
―第4部― 文化放送「くにまるジャパン」発言録
―第5部― 佐藤優さんの今後の予定(5月上旬まで)

分析メモ(No.25)「休戦協定『全面白紙化』によって、北朝鮮は何を狙っているのか」

〔PHOTO〕gettyimages

【事実関係】
3月5日、北朝鮮軍最高司令部の報道官は、同月11日から朝鮮戦争休戦協定の効力を「全面白紙化」すると発表した。

【コメント】
1.―(1)
朝鮮戦争は、休戦について合意したのみで、国際法的には戦争状態が続いている。 

1.―(2)
1953年7月27日に、北緯38度線近くの板門店で、北朝鮮、中国両軍と国連軍(実質的には米軍)との間で休戦協定が締結され、3年間にわたる朝鮮戦争は戦闘行為を停止することになった。休戦協定に署名したのは、金日成朝鮮人民軍最高司令官、彭徳懐中国人民志願軍司令官、M.W.クラーク国際連合軍司令部総司令官の3人だ。韓国の李承晩大統領はこの休戦協定を不服として調印式に参加せず、この協定に署名していない。従って、国際法的に韓国は休戦協定の当事国ではない。

2.
北朝鮮の目的は、休戦協定を「全面白紙化」することによって、米国と平和条約を締結し、金正恩体制を認知させ、北朝鮮の国家体制を米国が武力によって転覆させないという保障を取り付けることだ。

3.―(1)
北朝鮮外交の特徴は、恫喝によって、求愛を表現することだ。北朝鮮の米国に対するメッセージは、事実上、北朝鮮政府が運営するウエブサイト「ネナラ」(朝鮮語で”わが国”の意味)が、3月9日に掲載した祖国統一委員会の3月8日付声明の抄訳に端的に示されている(因みにこのサイトの特徴は抄訳にある。日本政府に伝えたい内容を絞り込んで抄訳という形で提示している)

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら