ある日突然、養育費の請求が…
精子提供をめぐる訴訟沙汰が増加中

BBCニュース(UK)より

 カンザス州に住むウィリアム・マロッタは3年前、インターネットで精子ドナーを求める広告を見つけた。彼は親切心から、レズビアンのカップルに自分の精子を提供しようと決めた。その際、親権をすべて放棄する内容の契約書に署名し、そのカップルとは二度と会わないつもりだった。

 ところが昨年10月になって、一通の手紙が送られてきた。カンザス州の当局が、彼の“子供"の養育費を求めて告訴してきたのだ。じつは、彼が精子を提供したカップルは離別しており、子供を引き取ったほうの女性が生活苦によりメディケイド(低所得者用医療保険)を申請していた。だが当局は、生物学上の父親であるマロッタに、子供の医療費約6000ドル(約56万円)を払う義務があると判断したのだ。

 この例のように米国では近年、精子提供をめぐる訴訟問題が増えている。原因の一つは、精子ドナーに関する法律が制定されてから40年が経っており、実態に即していない時代遅れなものになっていることだという。

BBCニュース(UK)より

 法律が制定された頃、精子提供を求めるのは不妊に悩む既婚女性がほとんどで、妊娠するには医者の施術が必要だった。これに対し現在では、精子提供を希望する女性の約5割がシングルマザー、約3割が同性愛者であり、自宅で手軽に処置する方法がある。

 マロッタが精子を提供したカップルも、自宅用の授精キットを使用していた。ところが法律によると、ドナーが養育義務の発生から守られるのは、医者を介している場合のみだ。精子提供をめぐる訴訟のうち、ほとんどがマロッタのように個人間でやり取りしたケースだという。

 さまざまな家族の形が生まれつつあるいま、当事者の希望が尊重されるように法を改正すべきだという声が高まっている。

COURRiER Japon

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