『確率・統計でわかる「金融リスク」のからくり』
「想定外の損失」をどう避けるか
吉本佳生=著

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「できるだけ安全確実に儲けたい」と考える人に、
「想定外の巨額損失」は起きやすい!

 「数学が苦手な人ほどカモにされる」投資の世界で、最大の「武器」になるのが確率・統計の基礎知識。日経平均株価には「3年以内に50%下落する」可能性が十分にあり、日経平均連動投信のリスクは米ドルへのFX投資の2倍に達する! 購入する株や投資信託を選ぶとき、「値上がりしそうかどうか」だけを見ていませんか?

 「預貯金以外で資産運用したい」すべての人、必読。リスクを簡単に体感できる「特製サイコロ」付き。

はじめに 金融リスクとは?

金融リスクは,確率・統計の数字で示される

 この世に“確実に儲かる話”なんてない。とりわけ金融の世界では,損失の危険性が必ずつきまといます。金融の世界の儲け話は,誰かにまずおカネを渡す(預ける,託す,投資する)ことが前提ですが,誰に渡しても,その一部あるいは全額が戻って来ない危険性があります。

 金融取引をおこなっておカネを増やそうとする「資産運用」には,“勝ち=儲け”と“負け=損失”があり,ときどき負けることを覚悟しながら,トータルでいかに勝つかが重要です。確率的に少しでも有利な資産運用を探し,確率的に不利な投資(金融商品)には手を出さないことが大切です。

 金融の世界では,漠然とした「危険性」を,確率や統計データを意識して把握しようとするとき,これを「リスク(risk)」と呼びます。とはいえ,専門家が正確な言葉遣いを意識しているときは別として,現実には,ほとんどの人が危険性やリスクなどの言葉をごちゃ混ぜで使います。

 「株式投資は大損しそうだから危ない」といった程度の話なら,まだリスクとして扱っていないといえます。「元本割れの確率が40%以上ありそうだ」といったように,数字で確率などを意識することで,「金融リスク」と呼ばれるものになるのです。

 本書がめざすのは,漠然としか意識されないことがふつうの金融商品の危険性を,確率・統計で裏打ちされたリスクとして具体的な数字でとらえることです。ただし,金融リスクを示す指標は1つだけではありません。実際に本書では,金融における複数のリスク指標を解説します。

 そもそも,リスクの意味はいろいろな分野で異なります。しかし,リスクを統計データから分析し,確率などの数字で示すやり方は,あちこちでみられます。たとえば,スポーツです。

 バスケットボールやバレーボールの世界トップの選手でも,シュート成功率やスパイク決定率が100%ということはなく,失敗のリスクをいつも背負っています。テレビ中継などでは,決定率のデータが逐次集計されていて,ときどき紹介されます。成功・失敗の確率がリスクとして扱われているわけです。

 また,野球の打率3割2分(ヒット数÷打数=32%)と打率2割7分(27%)は,大きな実力差と評価されます。たった5%の確率の差です。でも,成功も失敗もある中で,トータルでの勝ちをめざすには,確率を意識することが大切なのです。数%の差が積み重なって,やがて大きな差を生むからです。