二宮寿朗「“続・ドラゴン伝説”、J3への道」

 2011年シーズン限りで引退した元日本代表FW久保竜彦が、現役復帰するという。引退後は広島の「廿日市スポーツクラブ」のストライカー養成コーチとして小、中学生を教えていた。
 しかし、同クラブのトップチームで県社会人リーグ1部に属する「廿日市FC」が将来的にJ3入りを目指す方針を打ち出したことで、クラブからの要請を受けて現役復帰を決断したという。久保以外にもMF桑原裕義(前岡山)、昨季までJ2の愛媛FCでプレーし、引退を表明した大木勉も復帰を表明している。2人ともサンフレッチェ広島で久保と一緒にプレーした戦友でもある。

J3という新しい夢

 昨年、引退に踏み切った際、「もう現役に未練はないよ」と久保本人から聞いていただけに、ちょっと意外な気はした。それもこれも「J3」という新しい夢ができたから、ということだろうか。

「J3」はJ1、J2の下に位置するディビジョン3(3部)で、2014年からスタートする。現在、3部リーグに相当する日本フットボールリーグ(JFL)はJリーグ入りを目指す準加盟クラブとJリーグ入りを目指さない企業のアマチュアチームが混在しており、確かに“不自然な状態”ではあった。これを整理しなければならないという声は以前から挙がっていた。

 まずJ3の概略を簡単に説明しておこう。リーグ参加を希望するクラブは「J3ライセンス」を保持しなければならない。これはJ1、J2ライセンスより基準が緩く、ホームスタジアムの収容人数は原則5000人以上、育成組織の保有(U-18、U-15、U-12、U-10のいずれか)、トップチーム監督が日本協会の公認S級ライセンスを持つ、などがある。このライセンスを保持して「入会審査」を経たうえで、最終的な判断材料となるのが「競技成績」だ。

 J3の初年度は10~12クラブでスタートする見込みだ。これに伴い、JリーグはJFL以下のリーグに優先順位をつけた。①JFL②全国地域サッカーリーグ決勝大会決勝リーグ③同大会の予選リーグ、地域サッカーリーグ――参入要件をクリアした参加希望クラブが12以上となった場合は、JFLの上位クラブから参加希望クラブをJ3に組み込んでいく。

  JFLでは既に準加盟を果たしているクラブを含めて定数の12クラブ前後が関心を示しているという報道もあったが、②以下のグループにも可能性がないわけではない。将来的にJ3の枠はもっと増加すると見られており、経験のある選手を獲得するといった「廿日市FC」のような動きが他に出てくる可能性は十二分にあるように思う。J3ライセンスでは3人以上のプロ契約が義務付けられ、久保もその枠に入ることになりそうだ。

 J3ができたことでJリーグへの道のりが近くなる。従来なら廿日市FCがJリーグ入りを目指す場合は、広島県社会人サッカーリーグ、中国地域県リーグ決勝大会、中国サッカーリーグ、全国地域サッカーリーグ決勝大会、JFLを順に勝ち上がっていかなければならなかった。それが「J3ライセンス」を保有し、全国地域サッカーリーグ決勝大会まで進むことができれば、Jリーグ入りの可能性が出てくる。スタジアムの問題など、クリアしなければならない課題は山ほどあるにしても、以前よりは手が届きやすくなったのは間違いない。