地方公務員の給与は誰が決めるべきか---交付金を盾に給与減額を迫る国のやり方に苛立ちを隠せない全国自治体

 総務省は4月5日、「地方公共団体における給与減額措置の取組・進捗状況」を発表した。昨年4月から国家公務員の給与が平均7.8%カットされているのに対して、地方も足並みをそろえるよう政府が求めていることに対する自治体の反応をまとめたものだ。

 調査によると国の指示に基づいて給与を減額する条例を議決するか、議会に提出中の地方自治体は、全国にある市町村(特別区は除く)に都道府県を加えた1766自治体のうちわずか5つ。すでに条例を定め引き下げを決めたのは、北海道芦別市、奈良県平群町、鳥取県伯耆町、長崎県壱岐市に留まっている。

 そのほか圧倒的多数の自治体は「取組方針を検討中」と回答している。要は様子見を決め込んでいるのだ。

平均7.8%減額することを前提にした交付金

 というのも、いくつもの自治体の首長から「反対」の火の手が上がっているからだ。例えば東京都。猪瀬直樹知事は記者会見で、「一律に指示を出すのはいかがなものかと思う」と反発。国の要請には応じず、公立学校の教職員などの給与は引き下げない方針を示している。総務省の調査にも東京都は「地方公務員の給与は、自治体が自主的に決めるべきだ」と回答したという。

 かといって東京都にならって多くの自治体が据え置きを決めるかというと、話はそう単純ではない。地方自治体は国にカネヅルを押さえられているからだ。地方交付税交付金である。

 地方交付税交付金は自治体の財政状態に応じて国から交付される。その額18兆円あまり。全国から上がる法人税や消費税など「国税」の一部を地方に再配分することで、格差を調整するのが本来の趣旨だ。ところが財政の厳しい自治体ほど「国頼み」が進み、交付金なしにはとうていやっていけないところに追い込まれている。

 国が何らかの政策を地方にやらせようとする場合、その交付金を武器にするのはある意味当然の帰結だ。実は今回の公務員給与引き下げ要請でも、この交付金が武器になっている。7月分から平均7.8%減額することを前提に交付金の金額を決定しているのだ。

 3月29日の参議院本会議で可決成立した改正地方交付税法では、2013年度(平成25年度)の地方交付税総額を、給与削減を前提として前年度より3,921億円減額、17兆624億円としているのだ。いやがおうでも言う事を聞かせようというわけだ。地方自治体はしばしば「3割自治」などと呼ばれ、国の出先に過ぎないと言われる。まさにそれを証明するかのような事態に直面しているのだ。

 カネヅルを押さえられ、そこから来る金額を減らされては地方自治体は頑張りようがない。給与を維持するにはそのほかの一般歳出を削らなければならなくなる。予算がなくなり自治体の事業が滞ることになりかねない。

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