グーグルとフェイスブック、主導権を握っているのはどちらか?

〔PHOTO〕gettyimages

 米フェイスブックが先週、アンドロイド携帯をフェイスブック携帯へと変身させるアプリ「ホーム(Home)」をリリースした。日本も含め世界各国で、今週12日頃からダウンロードできるようになる。

 これをアンドロイドが搭載されたスマートフォンにインストールすると、そのホーム画面にニュースフィードや友達の写真、メッセージなど、お馴染みのフェイスブック・コンテンツが続々と表示される。以降は、スマホを起動した瞬間にこの画面が目に飛び込んでくるわけだから、ユーザーから見れば事実上のフェイスブック携帯である。

 フェイスブックが独自開発のスマートフォン、あるいはモバイルOSを出してくる、という噂は以前から度々聞かれたが、同社CEO(最高経営責任者)のマーク・ザッカ―バーグ氏はその度に噂を否定してきた。

最もコスト・パフォーマンスの良い戦略

 実際、蓋を開けてみると、同氏の言った通り、フェイスブックは独自のスマホやOSではなく、その上に載るアプリによって自らのモバイル・プラットフォームを構築する道を選んだ。この理由について、ザッカ―バーグ氏は米フォーチュン誌のインタビューの中で次のように語っている。

 「仮に我々(フェイスブック)が独自のスマートフォンを開発して、それを世界全体で3000万人が買ったとしましょう。それはスマホとしては大ヒットですが、フェイスブック・ユーザー全体の僅か3%に過ぎません。その3%のために、我社(の進路)を大きく転換させるわけにはいかないんですよ」

 随分と話が大きいが、ザッカ―バーグ氏の言いたいことはよく分かる。要するに、コスト対効果の問題である。

 発売即ヒットとなるような高品質でリーゾナブルな価格のスマートフォンやOSを開発するには、飛び抜けて優れたアイディアと人材、想像を絶する開発努力、巨額の資金、そして相応の時間がかかる。それが失敗したときのダメージは大きい。そんな大きなリスクをとって真正面から攻めるよりは、何かもっと、こう、賢くやる"抜け道"はないか---。

 ということで、同社(ザッカ―バーグ氏)が打ち出した戦略が、スマホの世界市場で約70%ものシェアを誇るアンドロイド上で、自らのプラットフォーム・ビジネスを展開することだった。要するに誰か別の人(グーグル)が広めてくれた基盤を、自分にいいように上手く利用する、ということだ。これだとゼロから自分でやるよりは、コストもリスクも比較的小さくて済む。

 これは非常に賢い、いや言葉は悪いが「狡賢い」とも言える戦略だ。しかし、それなりのリスクも考えられる。それは、フェイスブックにこういうことをされたグーグルの今後の出方である。今回のフェイスブック・ホームのリリースを受け、グーグルは「それがユーザーのためになるなら我々は歓迎する」とコメントするなど、表面上は大人の対応を見せている。が、内心はその正反対だろう。

 フェイスブック・ホームは、デフォルト(標準)で用意されたアンドロイドのメニューや機能を全てスマホ画面から追い出し、自分たちの背後へと隠してしまった。確かにスワイプ(指をすっと滑らせる操作)によって、従来のアンドロイド画面を復活させることはできるが、それはまるでオマケのような印象である。「軒を貸して、母屋を取られる」という諺ではないが、グーグルから見れば、まるで自分たちのプラットフォームをフェイスブックに乗っ取られた気分だろう。

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