2013.04.11(Thu)

モノがあふれたこの時代に人は何を基準に商品を選ぶのか。
いまは「信頼関係」でモノが売れる時代だと思っています。

ライフネット生命保険 出口治明

週刊現代
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'08年、日本国内では74年ぶりに、内外の保険会社を親会社としない独立系生命保険会社が設立された。その名はライフネット生命保険。インターネットで廉価に保険商品を販売、「子育て世代の生命保険料を半額に」など、様々な案を具体化する。社長は業界最大手・日本生命出身の出口治明氏(64歳)だ。

モノがあふれたこの時代に人は何を基準に商品を選ぶのか。いまは「信頼関係」でモノが売れる時代だと思っています。でぐち・はるあき/'48年三重県生まれ。京都大学法学部を卒業し、'72年に日本生命保険相互会社入社。金融業界をとりまとめ、金融制度改革に取り組み、保険業法の改正に大きな役割を果たす。退職後、'06年に起業、’08年にライフネット生命保険を設立。一日1冊ペースで歴史書などを読んでいるという

時代観

 20世紀は「先が読みやすい時代」だったと思います。高度成長と人口増加は疑うことなき前提で、多くの業界で、まだグローバルな競争はありませんでした。為替が1ドル=360円固定だったことだけでも、今より不安定な要素が少ないですよね。

 私が日本生命に入社した時も、労働組合から「10年後の賃金はいくらで、20年後、この役職に就くといくら」という資料が配られました。一方、現在は10年後の給与どころか、会社がどうなっているかすらわからない。いわば「昭和はノーリスクミドルリターン、平成はハイリスクハイリターン」の時代だと言えるでしょう。

算数で見よ

 私が起業した理由は、生命保険を「算数で考える」と見えてくるものがあったからです。例えば、20代、30代の所得は10年前より減っています。これでは赤ちゃんがたくさん生まれるわけがない。子育て世代の方々に、安心して子どもを産み育ててもらうため、どうすれば保険料を下げられるかも算数で考えました。まず、日本人がどの程度の確率で何の病気にかかるかは、誰が計算しても同じ。そして、保険の支払いに必要なお金(製造原価)はこの確率を元に計算されるから、ここでは差は出せません。

 しかし、運営経費は違う。たとえば、スーパーで200円のビールが居酒屋だと400円するのは、価格に店舗費や人件費が乗っているからですよね。そこで、保険をネット販売し、運営経費を削れば保険料は半額で提供できるのでは、と考えたのです。

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