【米国の不動産王ドナルド・トランプ(2)】教師を殴った「悪ガキ」が、売り家の改装修理に巨費を投じた理由

 小学生の頃から、自己主張が強かった、とドナルド・トランプは語っている。

 二年生の時に、音楽の先生を殴った。その理由は、先生が音楽について、何も分かってない、と思ったからだという。

 いわゆる悪戯者の悪ガキで―成功者は、だいたいそう主張するが―、そのために軍隊式の私立学校、ニューヨーク・ミリタリー・アカデミーの、八年生に編入した。

 学校は、性に合った。

 自分がふんだんに持っている攻撃性を建設的に用いる事を学んだという。

 士官学校を卒業した後、ブロンクスのフォーダム大学に入った。フォーダムは、イエズス会が運営している大学である。

 その後、ペンシルヴェニア大学のウォートン校に願書を出し、入学にこぎつけた。

 ウォートン校は、ジョン・スカリー元アップルCEOや、レナード・ローダー(エスティ・ローダーの息子)、ジャンクボンドで一世を風靡したマイケル・ミルケンなどの経営者を輩出した、アメリカ一のビジネス・スクールである。

 トランプは、ウォートンで学んだ事は、あまり自分の成績に感動しない事と、学位は重要だという事だと述べている。

「私に言わせればそんな学位は何の証明にもならない。だが仕事をする相手の多くは、これをいたく尊重する」(『トランプ自伝』枝松真一訳)

 卒業し、父親の下で働きだした。

 だが、父の仕事は、トランプには受け容れられないものだった。

 労働者たちの街で、家賃を取り立てるのは、危険が多い仕事だった。

「この仕事では、まずい時にまずい家をノックすると、撃たれることがある」

 ヴェテランの、取り立て屋が教えてくれた。