第三十一回 サラバ、哀しき排外主義よ

2013年04月14日(日) 魚住 昭
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 お祭りだと!私は腹が立った。在日の人たちに精神的な拷問を加えるのがそんなに楽しいのか。人が苦痛にあえぐ姿を見て喜ぶ自分が恥ずかしくはないのか。

 在特会の八木康洋副会長も登場した。彼は一昨年、竹島問題で日本の国会議員らが韓国入国を拒否された例を挙げ、こう言った。

「そのとき下條先生(下條正男・拓殖大教授)が入国を拒否された理由が『命の保証ができない』だった。韓国で日本人が命の保証をされない。だとしたら、日本にいる韓国人・在日朝鮮人の命も保証する必要はない。それが相互主義というもんじゃないですか!」

「そーだっ!」。発言が過激になるにつれ聴衆の喚声も一段と高くなり、殺気立つ。おとなしい日本人がレイシストに変貌していく。

 デモが始まったのは午後2時半ごろだ。先頭は中井氏運転の街宣車。後部座席の女性がマイクで「我々は韓国との国交断絶を実現するぞ!」とシュプレヒコールを上げる。デモ隊の周囲を、私服の公安刑事や防弾チョッキを着た機動隊員たちが固めている。

 林立する日の丸と旭日旗。そして「あえて言おう、朝鮮人はカスであると」「韓国人がテレビからいなくなりますように」などと書いたプラカード。そのなかには「韓国人女性≒腐れ売春婦」というのもあった。泣きたくなるほど下劣で醜悪な言葉である。

 私はネットで見た写真を思い出した。街角で在特会のヘイトスピーチを聞いて泣き出す女子高生の写真だった。彼女は韓流スターのファンなのだろう。写真のBGMとしてラッパーのECDのこんな歌が流れていた。

触れさせやしねえあの娘に指一本
涙でその頬濡れさせやしない
触れさせやしねえあの娘に指一本
涙でその頬濡れさせやしない
足すくむ震え止められない わめき声「殺せ叩き出せ」って聞いて泣き出すの無理ねーだって自分が今大好きなアーティストがスターがアイドルが何人かどーかでそんないわれかた
どんだけ悲しい悔しい恐ろしい
そいつがレイシズム そしてヘイトスピーチ
こんな世界があっていいわけがねー

 そうだ。そんな非道が許されていいはずがない。大久保通りの歩道では抗議のプラカードの波がデモ隊を待っていた。「仲良くしようぜ」「愛国を言い訳に差別を楽しむな」「レイシスト帰れ」「差別主義者は恥を知れ」「ヘイトスピーチを今すぐやめよう」

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