週刊現代
第三十一回 サラバ、哀しき排外主義よ

「在日特権を許さない市民の会」(在特会)をご存じだろう。

 そう、日の丸を掲げ「韓国人を皆殺しにしろ」と暴言を吐きながら街頭を練り歩く〝ネット右翼〟のことだ。先月末の日曜日、新宿のコリアンタウンで彼らのデモがあるというので見に行った。

 午後2時前、出発点の大久保公園にはざっと200人ほどが集まっていた。ネット右翼というから若者たちだと思っていたら、違った。大半は中年男性だ。20~30代と思しき人はそんなにいない。女性の姿もかなり少ない。

 彼らの身なりや表情や会話の様子を側でじっくり観察させてもらった。ジャンパーやスエットなどを着たラフなスタイル。時おり見せる温和な笑顔。拍子抜けするほど普通の日本人たちだ。凶暴なレイシズム(人種・民族差別)をうかがわせるものは何もない。

 参加者のなかにひときわ目立つ男性がいた。グレー地に白いストライプのスーツでびしっと決めた「新日の丸友の会」の代表・中井ケイノスケ氏(42歳)である。

 彼に聞くと、今日のデモと集会は「新日の丸友の会」主催の「特定アジア粉砕新大久保排害カーニバル」だそうだ。在特会は協賛団体という位置づけらしい。

 と言ってもスローガンはいつもの在特会デモと同じ。「日韓国交断絶。不逞外国人追放。外国人犯罪の撲滅・・・・・・」。たぶん参加者の顔ぶれもあまり変わらない。

 ただ中井氏によれば「今日はヘイトスピーチ(憎悪表現)は一切なし。今までメディアに注目してもらうため過激なことを言ってきたけど、その目的はもう達したから」という。

 なるほど、そういうことか。だが、そのために在日の人々はどれほど恐ろしく、悔しく、悲しい思いをさせられたか。罪の意識はないのかと聞いたら「まったくありません。だって韓国や中国のほうが日本にひどいことをしているから」という答えが返ってきた。

 午後2時すぎ、公園出口で中井氏がマイクを握った。

「勇気ある行動保守、愛国者の皆さん。今日はこの新大久保によくぞお集まりくださいました。私は通りすがりの社会的弱者、バツイチ42歳の中井と申します。今日はお祭りなんで、あまりいきり立たないよう、アハハ、お願いします」