サイバー攻撃と米中IT貿易摩擦---米国政府が中国製品の締め出しへ

深圳市のHuawei本社 〔PHOTO〕gettyimages

 米中のサイバー・アタック摩擦が連邦政府の調達に影響を与え始めた。米議会は、政府の予算執行において中国IT製品の購入にFBI(連邦捜査局)の承認を義務づけたためだ。

 この"anti-hacking provision"により、商務省、司法省、NASA(米航空宇宙局)、NSF(全米科学財団)の調達で中国製IT製品の締め出しが懸念される。中国は正式な抗議の声明を発表し、ホワイトハウスも悪影響を懸念している。

●"Silicon Valley Fights Restrictions on Chinese Tech"(シリコンバレー、中国テクノロジー企業締め出しに反対)
WSJ BLOGS, By Amy Schatz, April 5, 2013

 シリコンバレーのハイテク企業も、同規定への懸念を表明している。中国からのサイバー攻撃に神経を尖らせる米国議会は、どこまで米中IT摩擦をエスカレートさせるのか---。

12年春から懸念されたサイバー攻撃の脅威

 まず、米国が取ってきたサイバー・セキュリティーに関する最近の動きをまとめてみよう。

 連邦政府の安全保障・公安関係者は2012年春あたりから米国に対する大規模サイバー攻撃の危機を唱え、議会やオバマ大統領に具体的な対策の実行を迫っていた。

 これに対応した連邦議会下院の情報委員会(House Intelligence Committee)は12年秋、セキュリティー問題に関する調査報告書を発表し、中国Huawei社およびZTE社の通信機器調達を控えるよう通信・放送業界に勧告した。しかし、同報告書は法的な義務がなく、あくまで「要請」の段階にとどまっていた。

 オバマ大統領は昨年、選挙対策の観点から微妙な問題であるサイバー・セキュリティーには触れない姿勢を示した。しかし、再選を果たした今年春、施政方針演説(State of the Union Address)でサイバー防衛に関する大統領令を発表し、議会および政府機関がその対策に力を入れるように要請した。

 その後、米国ではサイバー攻撃の脅威は中国にあるとの論調が高まった。4ヵ月に亘ってサイバー攻撃を受けたニューヨーク・タイムズは、その攻撃状況を詳細に報道するとともに「中国軍による組織的なサイバー攻撃を受けた」とする結論を掲載した。その頃から、米国政府や議会関係者も中国を名指しで批判するようになり、米中の緊張感が高まった。

 大統領の施政方針演説を受け、連邦議会は3月、Frank Wolf議員を委員長とする下院CJS委員会(House Commerce-Justice-Science Appropriations subcommittee)で、連邦予算の執行に関する法案にサイバー・セキュリティー強化を目的とする予算などを付け加えた。オバマ大統領は3月末、同法案に署名し施行されることとなった。

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