雑誌
強いニッポンが帰ってきた
第1部 世界が見た「奇跡のアベクロ・バブル」40人の証言

〔PHOTO〕gettyimages

「失われた20年」と呼ばれた長いトンネルを抜けて、ようやく日本経済に光が見えてきた。安倍首相と黒田新日銀総裁が繰り出すアベクロ・バブルを、世界の人々はどう見ているのか。各界40人に緊急調査した。

ジム・ロジャーズの考え

「私は安倍氏が首相になると分かった段階で、日本株を買い増した。安倍氏は1万円紙幣を印刷しまくると明言しており、そのことで株価は上昇するに違いないからだ。私の長い投資の経験から言って、中央銀行が紙幣を刷りまくって、株価が上がらなかったことは一度もない」

 本誌に自信を持ってこう語るのは、「伝説の投資家」ジム・ロジャーズ氏だ。

 70歳を迎えたロジャーズ氏は、1973年にジョージ・ソロス氏とともに「クォンタム・ファンド」を設立。以後、7年間でリターン率3365%という驚異の稼ぎを見せ、一躍時代の寵児になった。'80年にソロス氏と袂を分かち、'07年以降はシンガポールに拠点を移して、投資活動を続けている。

 そんなロジャーズ氏は、いまやすっかりアベノミクスに肩入れしているのだ。

 ロジャーズ氏は3月5日、東京港区の大和インベストメント・コンファレンス東京で講演会を開いた。この日、約350社の日本企業が、国内外の800人の太規模投資家に向けて、株式投資を訴えるセミナーを開いたのだった。ロジャーズ氏が、

「日本はアベノミクスによって、景気の拡大基調が、数年は続くだろう。数年後にはバブルがやって来るかもしれない。日本株はいまが買いだ!」

 と煽ると、会場は割れんばかりの拍手となった。

 3月下旬にはロジャーズ氏に続き、大物経済学者が来日した。ノーベル経済学賞を受賞したジョセフ・ステグリッツ米コロンビア大学教授だ。スティグリッツ教授は、3月21日に首相官邸を訪れ、安倍首相に対して次のようにお墨付きを与えたのだった。

「あなたが現在推進している果敢な金融緩和と財政出動、いわゆるアベノミクスは、まさにいまの日本が必要としている政策です。アベノミクスは短期的な景気浮揚にとどまらず、日本の長期的な課題解決にもつながるはずです。

 日本にいま必要なのは、デフレからの脱却です。デフレから脱却できれば、経済成長が進み、経済成長が進めば1000兆円近い国と地方の債務を大きく減らせるのです。その意味でも、デフレからの脱却を最優先させるアベノミクスは正しい」

 世界の権威の話に聴き入っていた安倍首相の口元は、終始緩みっぱなしだったという。

 このスティグリッツ教授の訪日をサポートしたのは、エール大名誉教授の浜田宏一内閣官房参与だった。浜田教授は安倍首相に対して、大胆な金融緩和と黒田東彦ADB(アジア開発銀行)総裁の日銀総裁就任を推薦した「アベクロ・バブル」の仕掛け人だ。

 アジア経済について積極的に発言を続ける、もう一人のノーベル経済学賞受賞者が、ポール・クルーグマン米プリンストン大教授だ。クルーグマン教授も『NYタイムズ』に定期連載しているコラムで、「日本は踏み出す」(1月13日付)というタイトルで、安倍首相にエールを送っている。

〈過去3年にわたって、先進国の経済政策が次々に空中分解する中で、あるメジャーな国がブレイクした。それは日本だ。安倍晋三が恐竜のように復活し、インフレ政策を取り始めたのだ。これは非常によい政策で、素晴らしい結果をもたらすだろう〉

 アベノミクスが、じわじわと世界にも浸透し始めた。NYウォール街で長年活動を続ける経済ジャーナリストのジェームズ・ジェニングス氏が語る。

「こちらNYでは、これまで日本円が高すぎたので、1ドル=100円くらいまでは行くだろうという見方が大勢です。『輸出倍増計画』を公約にしているオバマ政権が円安ドル高を容認しているのは、日本のTPP参加と、日米で交換条件にしたのだろうという見方が広がっているのです。

 株価に関しては、NY市場は連日、史上最高値を更新し、イケイケです。それに較べれば日本の株はまだ史上最高値にはほど遠いので、年内に1万5000円くらいまで行くと見られています。日米欧で同時に金融緩和が進んでいるので、世界同時カネ余り状態から、株式投資は活発化するでしょう」

 アベノミクスへの注目度が高まっているのは、キプロス危機に陥ったEUも同様だ。

 英『フィナンシャル・タイムズ』(3月4日付)は「安倍首相の再登板で、何かが動き出した」という長文の記事を掲載した。

〈「日本は戻ってきた」という安倍首相がオバマ大統領に発したメッセージは、シンプルだが大胆不敵なメッセージだった。「日本は二流国家ではないし、これからもそうではない」。少し前までは、日本の首相がそんなことを述べれば失笑を買ったものだ。日本は過去15年で11人も首相を取り替え、5度も景気後退期を経験したからだ。だが、安倍首相が再び政権に就いてからは、何かが動き出している〉

 ロンドンの金融街シティで活動するジャーナリストのケン・メイヤー氏が語る。

「シティでは、安倍政権はこれまでの民主党政権に較べて、何かドラマチックなことをやろうとしているという雰囲気が伝わってきます。インフレ・ターゲットは2%に設定しましたが、今年中に少しでもインフレ効果が現れれば、国民の消費マインドを刺激し、タンス預金をしている高齢者もカネを使い始めるのではないでしょうか」

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