奥村隆「息子と僕のアスペルガー物語」
2013年04月06日(土) 奥村 隆

奥村隆「息子と僕のアスペルガー物語」【第24回】
息子が学習塾に突きつけた「3つの条件」に仰天した

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【第23回】はこちらをご覧ください。

新しい塾に通うのを極度に怖がる息子

 年度が替わるこの時期、僕のようにテレビ番組制作に携わっている人間は非常に忙しい。言うまでもなく、年度のスタートに合わせて、番組を新たに始めたり、作り替えたりするからである。

 例年と同じく連日、早朝から深夜まで働き、何度か徹夜もしたが、数日前、この時期としては奇跡的に、丸一日休みを取ることができた。休みの前日の午後、妻に電話を入れて「急だけど明日、休めることになったよ」と告げると、彼女からは「ああ、ちょうどよかった。だったら明日の夕方、塾に行ってよ」と頼まれた。

「塾? 何のこと?」と問い返すと、3月末で通っていた学習塾をやめた息子が、新しい塾に行くかどうか迷っているのだという。評判が良い塾なので、妻は通わせたいと考えており、その話は僕も前にちらっと聞いていた。

 しかし、人間関係を構築するのを苦手にしている息子は、いつものように、新しい環境に入るのを極度に怖がっている。ここ数日、頭痛を訴え(第12回参照)、「そこの先生、すぐに怒ったりしない?」「怒りっぽい先生のいる塾だったら、僕は絶対に行かないよ」などと尻込みしているそうだ。

 そこで明日の午後、とりあえずは妻と息子でその塾を訪ね、見学して、先生の話を聞くことにしているという。最終的にその後で息子の意思を聞いて、通わせるかどうかを決めようと妻は考えていた。

 普段ならば僕にも当然、報告と相談がある話なのだが、このところの僕の殺人的なスケジュールと疲労困憊している様子を傍で見ていて、妻は話すのを遠慮していたらしい。そこへ明日、いきなり僕が一日休みとなったので、ちょうどいいから一緒に行ってくれと、状況視察と最終決定を夫にまるまる委ねたわけだ。

 僕は「よし、わかった」と答えて電話を切った。

決めた起床時間になるまで「おはよう」と言わない

 しばらくの間、ろくに寝ることもできず超ハードな毎日を過ごしていたので、睡眠のリズムが狂ってしまっていたらしい。僕は休みの日の朝、できれば遅くまで寝ていたかったのだが、朝5時少し前に目が覚めてしまった。

 それでも7時間くらいはぐっすり寝た計算になる。生き返ったような気持ちで、とりあえずキッチンへ行って水を飲み、リビングのテレビをつけて、画面をぼんやりと眺めていた。

次ページ  すると、背後でドアの開く音が…
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