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金正恩は本気で戦争を起こそうとしている!! いまそこにある「朝鮮半島危機」について、いますぐ国民的議論を!
近藤 大介 プロフィール
〔PHOTO〕gettyimages

 現代ビジネスのこの連載が、今回で150回となった。2010年4月に瀬尾編集長から頼まれて始めて以来、毎週月曜日に中国及び東アジア問題のホットなニュースについて発表し、丸3年になる。当時は北京に住んでいたが、昨年夏に帰国し、いまは東京を拠点にしながら、北京へ取材に行く日々となった。毎週愛読していただいている読者に厚く御礼申し上げると共に、今後とも中国及び東アジアのホンネに迫るレポートを送りたいと思っている。

 150回の記念号なので、少々思いの丈を述べることをお許し願いたいが、昨今の日本人の平和ボケは、目に余るものがある。一般の人々の安寧な生活を非難する気は毛頭ないが、政治家・官僚・大マスコミの幹部といった、本来なら情報・ニュースに最も敏感であるべき人たちの五感が麻痺しているのは看過できない。アベクロバブルに浮かれるのもいいが、「いまそこにある危機」についてもっと真剣に考え、議論すべきではないのか。

 いまそこにある危機とは、すなわち「朝鮮半島危機」である。「若い金正恩が何だか吼えているようだけど、どうせ狼少年みたいなものでしょう」「仮に何かの衝突が朝鮮半島で起こったとしても、日本とは無関係でしょう」---このような意見を、政治家・官僚・大マスコミ幹部から、最近しばしば聞く。そのような危機感のない発言を耳にするたびに、その鈍感力に哀しくなってくる。

アメリカを敵に回した金正恩

 まず、北朝鮮が建国以来、金王朝の独裁国家であることに違いはないが、先代の金正日と現在の金正恩は、まったく異質の指導者だ。

 初代の金日成主席は、主体思想という「主席崇拝思想」でもって、朝鮮労働党を完全掌握することによって、北朝鮮を統治した。その金日成主席が1994年に死去すると、2代目の金正日総書記は、先軍政治という「軍事優先政策」でもって、朝鮮人民軍を完全掌握することによって、北朝鮮を統治した。その金正日総書記は、2011年末に突然死した。

 続いて北朝鮮は、3代目の金正恩第一書記の時代に入った。金正恩は、経済建設という「経済発展戦略」でもって、内閣を完全掌握することによって、北朝鮮を統治しようとした。だから昨年6月に、「6・28経済措置」を出したのだ。

 だがこの戦略は、早くも昨年夏をもって、完全に破綻した。最大最強勢力の120万人民軍が立ちはだかったからである。

 中国の改革開放政策は、鄧小平という強力な指導者のもと、次の5つの段階を踏んで成功した。①対米関係改善 → ②軍縮(軍人及び軍権の縮小)→ ③経済特区設立 → ④農業分野の改革開放 → ⑤商工業分野の全国的改革開放である。つまり、何はともあれ、世界最強のアメリカを味方につけることが先決なのである。

 ところが現在の金正恩は、アメリカを完全に敵に回している。これでは経済建設など不可能である。

 また、先代の金正日は、北朝鮮最大最強の組織である朝鮮人民軍を統轄するため、軍を3分割した。実行部隊である総参謀部、後方部隊である人民武力部、そして思想部隊である総政治局である。この3つの組織を同列にして、それぞれの忠誠を競わせることで、「3頭馬車」を巧みに御していったのだ。

 だが御者が金正恩という若造に変わるや、当然ながら「3頭の馬」は勝手に暴れ出した。だが素人の手綱捌きでは、暴れ馬を御していくことができない。そこで御者は苦悩の果てに、ムチを力一杯振り上げて、全速力で走り抜けようとする。だから馬車は暴走し、どこへ吹っ飛んでいくか知れない。それがいまの北朝鮮の姿なのである。

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