テレビ・コマーシャルのドラマ化現象に見るブランデッド・コンテンツのマーケティング効果

 広告の役割は何だろうか。例えば、テレビ・コマーシャルを通じて発信されるメッセージ、内容はどうやって決まっていくのか。

 商品の特徴やスペックを端的に伝える。サービスのクオリティや品質の高さをいかに感じさせるか。圧倒的な安さをどうアピールするのか。消費者の"買いたい気持ち"をくすぐるメッセージやストーリーが次々に展開される。

 慌ただしく、画面に映し出される風景はついついスキップしがちである。しかし、そんな中でも私の心をくすぐるテレビCMがある。まるでドラマを見ているような物語を強調したシリーズものである。

長尺やシリーズものが上位を占めるテレビCM

 代表例は、やはり、ソフトバンクの白戸家シリーズか。最初はただ「家族割」をアピールするために企画されたファミリードラマだったのかもしれない。しかし、その後も次々に制作され、連続ドラマに例えるなら、もはや『渡鬼』『水戸黄門』並みの長寿番組級である。テレビCM好感度でも6連覇中らしい。(ソフトバンク CMギャラリー

 もちろん、ソフトバンクのサービスの特徴や品質の打ち出しは、その時々で変わるのだけれど、白い犬がお父さんを演じるホームドラマの基軸は変わらない。大きな物語が縦糸として走っていて、その時々の打ち出しが横糸となって物語を組み上げている。話題になった、Every Little Thingを起用したLTEシリーズはその最たるものだろう。

 CMデータバンクの発表データを見ても、昨年あたりから、長尺やシリーズものが上位を占めている様子がうかがえる。

 テレビCMのドラマ化で目を引くのが、演技派俳優、役所広司のシリーズ広告である。

 役所さんが弁護士を演じるダイハツ新ムーヴのシリーズ広告のことだ。主演に役所広司、証人Aに渡部篤郎、証人Bに鈴木京香、検事に八嶋智人という豪華なキャスティングに加えて、法廷で展開される様々な場面が面白い。昨年末から、CM好感度ランキングで常に上位をキープしている。

 今回、はじめて、シリーズ全部をきちんと見て、新ムーヴ(クルマ)に搭載された様々な性能を称して「その進化は事件である」と訴えるこのCMのコンセプトをようやく理解した。一視聴者としては、ドラマを観ているような臨場感と、役所さんと八嶋さんのかけあいが絶妙で「面白いなぁ」と引き込まれていた。

 ダイワハウスのダイワマンも印象的である。さらに、ダイドーブレンドコーヒーでは、コーヒー好きの大学教授"大同教授"が、映画『インディージョーンズ』でハリソン・フォードが演じた考古学者のような出で立ちで世界を冒険するシリーズが展開中だ。(ダイドードリンコ CM動画情報

 このシリーズは、昨年からスタートしており、役所広司演じる大同教授が、世界中をまわって探し集めた"5ヵ国のおいしい豆"を使うことで、本当に美味しいブレンドコーヒーを極めるという設定が基軸になっている。CMコンセプトをよりリアルに表現するために、全編スペイン語のセリフで撮影し、日本語吹替え版の他に、日本語字幕版もオンエアするという凝りようである。

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