2013.04.04(Thu)

弊社の地図は、スタッフが全国を回り、表札や建物の形まで一軒一軒調査します。
人とお金がかかっても、苦労を惜しんではいけないことはある。

週刊現代
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1949年、大分県別府市の観光ガイドを作成した際、巻末に付けた詳細な市街地図が好評を博し、住宅地図を作り始めたゼンリン。以降、地図のカバー範囲を九州から全国へと広げ、現在は消防署、警察署、インフラ事業者など、様々な業務でも利用されている。調査スタッフによる実地調査を元に詳細な地図を描くという世界的にも珍しいビジネスモデルで、Googleなどにも地図データを提供する同社。社長は、たたき上げの髙山善司氏(50歳)だ。

弊社の地図は、スタッフが全国を回り、表札や建物の形まで一軒一軒調査します。 人とお金がかかっても、苦労を惜しんではいけないことはある。たかやま・ぜんし/'62年長崎県生まれ。西南学院大学商学部を卒業し、'86年にゼンリンへ入社。その後、東京第二支社長、営業本部副本部長、経営戦略室長を歴任する。その間、他社との業務・資本提携をまとめるなど、現在のゼンリンの礎を築いた。'06年6月に取締役営業本部長へ就任し、'08年4月より現職

危機感

 現在は〝あって当たり前だったモノがなくなる時代〟だと思います。例えば地図だって〝道路や建物の情報を地図で見なくても、スマホに行き先を入力して音声に従って進めばいい〟というスタイルが普及したら必要なくなるかもしれません。その場合、弊社は住宅地図など、現在持っている情報をどのような形で提供すべきなのか・・・・・・。

 このように、危機感を持って常に様々な仮説を立て続けなければ、企業を永続的に存続させることはできません。ちなみに〝便利になること〟はイコール〝誰かの仕事がなくなること〟の場合がある。便利な時代だからこそ、いつも強い危機感を持っています。

世界初

 弊社は'84年、業界にさきがけ、コンピューターで地図を描くシステムを完成させました。'90年には、自動車に搭載されたGPSカーナビ専用ソフトを世界で初めて開発しています。今後は、みなさんが新しい道や建物の情報をアップしてくださる地図、インターネットに接続しなくても一部地域は電子デバイスで見られる地図など、様々な方向性があると考えています。例えば、道路の法定速度やカーブの角度などの情報が入った地図があれば、スマートフォンを接続するだけで車を自動運転できる時代が来るかもしれません。

 人材も、ただ〝地図が好き〟という人物より、現在の経営資産を活かし、地図を別の何かに変えたいと考える人を求めています。まあ、そういった人材がほしいのはどの会社でも同じかもしれませんが。

バイク 営業の現場にいた時代、休みの日には、よく会社の同僚たちとツーリングを楽しんでいた。写真一番左が髙山氏。ライダースーツがよく似合っている

遅刻

 私がゼンリンに就職した理由のひとつは、本社が北九州市にあったからです。長崎県の出身なので、九州の企業で働きたかったんですよ。ところが、ちょうど弊社が住宅地図を作る範囲を広げていた時期に就職したため、のっけから勤務地は埼玉県。九州から列車を乗り継いで夜9時過ぎに大宮駅に着くと、先輩が迎えに来てくれ、喫茶店が入ったビルへ案内してくれました。「長旅をねぎらってお茶を飲ませてくれるのか・・・・・・」とうれしく思ったら、その喫茶店の2階が弊社の小さな営業所でした。

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