企業・経営
大坪会長の辞任でパナソニックは生まれ変わるか!? 「不退転の決意」で臨む津賀社長の将来展望と「新中期計画」の甘さ
引責辞任する大坪文雄会長 〔PHOTO〕gettyimages

 パナソニックの大坪文雄・代表取締役会長が2年連続の巨額赤字の責任を取り、6月26日付で辞任する。後任には旧パナソニック電工出身の長栄周作副社長が昇格する。すでに3月28日に同社が発表したので、多くのメディアが報じている。

 実はこの辞任劇の背景には、創業家や旧パナソニック電工勢との暗闘があった。パナソニックの元役員はこう説明する。

 「松下正幸副会長が大坪氏の経営責任を問い始め、創業家がもう一度経営トップに立って会社を立て直すと言い出しました」

 正幸氏は創業者である幸之助氏の直孫。しかし、「売家と唐様で書く三代目」という諺があるように、苦労知らずのボンボン育ちで能力に疑問符の付く正幸氏に経営トップを任せていては会社が傾くとの意見が大勢を占め、正幸氏は副社長から副会長ポストに祭り上げられ、財界活動などの閑職に甘んじてきた経緯がある。

 「ここ数年、パナソニックの経営が悪化の一途を辿り始めると、正幸氏は経営に関与しようとしてきたが、中村邦夫氏(現相談役)が会長時代は『飴玉』を与えて体よく正幸氏を経営中枢から追い払った」(パナソニック関係者)という。「飴玉」とは子会社であるJリーグ・ガンバ大阪の新スタジアム建設プロジェクトのことだった。

 しかし、存亡の危機と言われるほど経営が傾き、創業家出身の役員として正幸氏はだまっていられなかったようで、中村氏の影響力が低下し始めると、パナソニックの経営に強く関心を持ち始めた。そこで創業家復活阻止の「大義名分」の下、会長の座を狙ったのが長栄氏だった。

経営陣の弱みに付け込み、会長ポスト獲得に成功

 旧パナソニック電工には、パナソニックとの経営統合に反対の役員・幹部も多かったと言われるが、独裁者中村邦夫氏に押し切られた。ところが、統合後は薄型テレビ事業の大赤字や三洋電機買収の失敗などから、株価も下がり、キャッシュフローにまで窮するようになった。旧パナソニック電工にとっては何ひとつ良いことはなかった。「本家が借金を払えないため、分家にそのつけが回ってきた」と被害者意識も強まった。

 しかも大赤字の原因はすべて統合前のパナソニック本体の経営判断ミスによるもの。旧パナソニック電工側からは「この統合は完全に失敗だった」との批判が公然の場でも出始めた。

 そして、ここに来て会長ポストをうかがう正幸氏の動向。OB陣から経営責任を取れと突き上げられていた大坪氏も今年に入り、辞任のタイミングをうかがっていたが、後任が決まらない状態では辞められない局面になった。

 この局面を見て会長ポストを押さえにきたのが旧パナソニック電工だった。創業家の無能なボンの復権だけは阻止したい現経営トップの弱みに巧みに付け込み、会長ポストの獲得に成功したというわけだ。

 独裁者の中村氏が一線から退き、中村氏の「傀儡」と言われた大坪氏も引責辞任した。これで津賀一宏社長を中心とした新たな体制で再生に臨む環境が整ったと思われたが、旧パナソニック電工勢の中にはOBも含めて、経営統合を白紙に戻して再度独立すべき、との強硬派も存在している。旧パナソニック電工勢をいかに従わせ、ひとつのパナソニックになるか、という重い課題も津賀氏は背負うことになった。

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