「ジムに通う人の栄養学」著:岡村浩嗣
栄養素としての運動

「牛乳を飲む人よりも牛乳を配達する人のほうが健康だ」といわれる。健康には食べ物も大切だが体を動かすことのほうが大切だという意味で、食と健康に対する関心が異様と思えるほど高い現在、改めて認識すべきことだ。

「食」は「人を良くする」と分解でき、人の最も基本的な運動である「歩」は「止まることが少ない」と分解できる。食べることと運動することが人の健康に必須の事柄であることを示しているのは面白い。

ジムに通う人の栄養学』(講談社ブルーバックス)で、健康には「太っていることは問題ではない。体力が問題だ」という研究結果を紹介した。これは、この研究をおこなったブレアー博士の講演での「Fatness doesn't matter. Fitness matters」を訳したものだ。講演ではこの頭韻を踏んだ表現で何度も言っていた。瘦せるには食べ過ぎないようにすればよい。しかし、食べ物だけでは体力はつかない。運動が必要だ。

 ところで、運動とスポーツは同じではない。幼児には「適度に運動させましょう」というが、「適度にスポーツをさせましょう」とはいわない。なぜか。運動とスポーツが違うことをみんなが認識しているからだろう。大きな違いは、スポーツにはルールがあり勝敗があるが運動にはそれらはないことだといえよう。

ジムに通う人の栄養学』には副題に「スポーツ栄養学入門」とある。ジムに通う人は健康のために運動している人が多いと思う。それなのに「スポーツ栄養学入門」とは矛盾しているということになる。

 しかし、もともと「痩せる」という意味ではなかったダイエットが、現在ではもっぱら痩せるために食事に気をつけたり食事を制限したりする意味に使われるようになったのと同様、スポーツも、ルールも勝敗もない運動という意味としても使われるようになっていると思う。というわけで、本書の副題に違和感が感じられなくても不思議ではない。

 
◆ 内容紹介
プロテインが筋肉づくりを促進することはない。ご飯などの主食を少なめにすると、栄養バランスが崩れる。このように、アスリートではない普通の人たちが運動をする際に知っておきたい栄養と食事の知識をわかりやすく解説。健康のためジムに通う人に向けた、スポーツ栄養学の入門書。