安部首相に日中関係修復の意思はあるか!? 麻生副総理訪中のカギを握る李小林女史の動き注目!
2006年北京で実現した安倍・胡錦濤会談 〔PHOTO〕gettyimages

 安倍第1次内閣発足間もない2006年10月、安倍晋三首相が電撃訪中し、胡錦濤国家主席(中国共産党総書記・当時)と会談した。日中共同プレス発表に盛り込まれた文言は「共通の戦略的利益に立脚した互恵関係」であった。その後、頻繁に使われるようになった「戦略的互恵関係」の基となった表現であり、考案者は当時の外務省アジア大洋州局の秋葉剛男中国課長(現北米局審議官・1982年入省)である。

 あれから6年余の間に福田康夫、麻生太郎、鳩山由紀夫、菅直人、野田佳彦氏5人の首相が誕生、昨年12月に安倍氏が首相に返り咲いた。では、第2次安倍内閣発足前の日中関係はどのような状況にあったのか。

 日中間の人的交流は約495万人/年、貿易総額は約3,337億ドル(12年度財務省貿易統計)である。日本の対中投資総額は73.8億ドル(12年中国商務部統計)であり、海外から中国への投資が冷え込む中で日本からは堅調に推移していた。因みに、11年統計では、中国にとって日本は第1位の投資国(63.5億ドル)であった。進出企業も11年末で米国を抜いて日本企業2万2790社は第1位である。

 そうした良好な日中関係が一転したのは、10年9月月に尖閣諸島領海へ中国漁船が侵入し、退去勧告をした海上保安庁巡視船との衝突事件を引き起こしてからだ。その後は、中国の公船の頻繁な領海侵入が続き、昨年8月には香港の反日活動家が尖閣諸島魚釣島に上陸する事件もあった。

 だが、決定的な契機となったのは、野田佳彦政権下の12年9月11日の尖閣諸島国有化であった。ロシア・ウラジオストクで開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に出席した野田首相と胡錦濤国家主席との"立ち話会談"が実現した3日後のことだった。

安倍首相に関係修復の意思はあるか

 胡錦濤氏は同年11月の第18回共産党大会で「海洋資源能力を高め、海洋経済を発展させ、海洋の生態環境を保護すると同時に、国の海洋権益を守り、海洋強国づくりに取り組む」と宣言した。ここから一気に海上覇権を目指し、尖閣諸島周辺海域での中国公船による「パトロール常態化」の宣言を行なった後、領海侵入と領空侵犯の発生が続いているのだ。

 「対中強硬派」と見られている安倍首相には、果たして関係修復の意思はないのか。それを判断する目安となるのが、週末の3月31日に来日する李小林・中国人民対外友好協会会長の動向である。中国革命第2世代の李先念元副首相(後に国家主席)の娘。日本訪問の表向きの理由は、4月2日に開幕式がある日中現代書道絵画名人展出席である。

 では、なぜ李女史の動向が注目されるのか、である。今年1月下旬、与党・公明党の山口那津男代表が安倍首相の親書を携えて訪中、習近平共産党総書記(当時は国家主席に選出されていない)と会談した。この山口・習近平会談実現を側面でサポートしたのが、実は、件の李女史である。

 筆者に彼女の存在の重要性を指摘してくれたのは、6月にIT関連大手のインターネットイニシアチブ(IIJ)社長就任が決定した勝栄二郎前財務事務次官(75年旧大蔵省)である。同氏はその折に、今後の日中関係にとって重要人物として李小林氏の名前だけでなく曽慶紅元国家副主席と李源朝共産党政治局員(全人代で国家副主席に選出)の名前を挙げた。

 正直いって、引退してかなりの日時が経っている曽慶紅氏の名前を聞かされたのには意外感があった。しかし、その後取材してみると、勝氏が言うように曽氏は依然として影響力を保持していることが分かった。李源朝氏は今回、政治局常務委員に昇格できなかったが、第19回党大会で昇格して党内序列も習近平国家主席(党総書記)、李克強首相に次ぐ第3位になるのが確実視されている。

 そこで問題は、李女史が東京滞在中に安倍首相と会談するかどうかである。もし官邸表敬が実現すれば、前回コラムで書いた麻生太郎副総理・財務金融相の4月訪中は確定すると言っていいだろう。

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