医者には患者の死が見えている でも本当のことは言いません 医者はこんなときにウソつくのです

2013年05月06日(月) 週刊現代

週刊現代賢者の知恵

upperline

 死が迫ると、それまでは自力でトイレに行っていたのに、それができなくなることがある。

「人間は、ぎりぎりまで自力で用便を済ませようとします。ところが、余命が短くなってくると、この最低限の自尊心を守ろうとする気力はあっても、できなくなる」(前出・新田医師)

 また、性格が一変するケースもある。

「がん性髄膜炎という病気では、死期が迫ると性格が変わります。とても温和だった人でも、仲の良かった伴侶に『お前のせいで苦しい人生を送るはめになった』『がんにかかったのもお前のせいだ』といった辛辣な言葉を浴びせるようになる。これは、がん細胞が脳や髄膜の表面にまで増殖してくることで起こる変化。ここまできたら、死期が近いなと判断します。

 痛みの訴え方もチェックポイントですね。『痛い痛い』と大騒ぎしているうちはまだ大丈夫。本当に重篤になると、声も出せずにうずくまり、じっと痛いところを押さえている。こうなったら注意が必要です」(医大系病院腫瘍内科医)

 食事の摂り方にも変化が出てくる。新田医師が語る。

「高齢者の場合、口から食事を摂ることが一切できなくなったら、死が近い。そうなった場合も、1日500ɘの点滴をすれば3ヵ月は生きられますが、そこまで。点滴を全くしないと1週間で死を迎えます」

 これらの噦余命を測る物差し器を知れば、我々一般人でも、ある程度真実に近い余命判断ができるようになるだろう。

 だが、医療現場にあるのは悪意あるウソばかりではない。患者を守り、励ますためのウソがあることも、また事実だ。

「病気を甘く考えて、まるで危機感を抱いてくれない患者さんも中にはいます。そうした患者さんに対しては、『このまま放っておくと命にかかわるよ』と、わざと深刻に病状を伝えます。また、『治療しなければ余命は1年だけれど、治療をすれば3年、5年と長引かせることができます。だから頑張りましょう』といった言い方をすることもあります。ただし、その場合でも必ずそうなるという保証はできない。ウソはウソですが、私は方便のウソだと思っています」(都内の総合病院外科医)

本当のステージは言えない

 また、終末期医療に携わるベテラン医師も明かす。

「余命宣告では、あと何ヵ月などといった具体的な数字は、直接患者さんに話さないことが多い。あくまでケースバイケースですが、数字を伝えることは一般的ではないのです」

次ページ  重篤な患者の場合、病状をあり…
前へ 1 2 3 4 5 6 7 次へ

このエントリーをはてなブックマークに追加 RSS
関連記事

最新号のご紹介

underline
アクセスランキング
1時間
24時間
トレンドウォッチ
編集部お薦め記事