佐藤優氏が勧める「実務で役立つ経済学の基礎知識を身につける本」
佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」Vol.010 読書ノートより

読書ノート(No.22)

一橋大学経済学部編
 『
教養としての経済学 生き抜く力を培うために』 有斐閣 2013年

 現代経済学の概要を知るのに非常によい本である。経済学部の新入生用のオリエンテーションを念頭に置いているが、経済に関心を持つ社会人が読んでも有益だ。経済学の各分野の概説だけでなく、数学、外国語(具体的には英語と中国語)についてていねいな学習案内がついている。

 筆者が、共感したのは、渡辺智之教授(元財務官僚)の執筆による「政策のプロフェッショナルにとっての経済学 大学で学んだ経済学を、実務の仕事でどう生かすか?」だ。

 渡辺教授は、

一般に、大学で勉強した学問が実際の仕事ですぐに直接役立つことは少ない。むしろ、「『すぐに役立つ勉強』などは、すぐに役立たなくなる。長い目で役に立つのは、基本的な考え方をしっかり身につける勉強である」といったことがよく言われるし、たぶん、それは正しい。しかし、大学で経済学の基礎的勉強をしっかりやっておくと、実務でも、実はけっこう、つぶしがきく>(294頁)

 と述べる。その通りだ。

 ちなみに渡辺教授は、1990年代半ば、大蔵省(当時)から、モスクワの日本大使館経済班にアタッシェとして出向していた。一時期、評者と勤務が重なっている。渡辺氏は実務能力と調査分析能力の双方が高く、周囲から一目置かれていた。

 渡辺教授は、実務家にとって、難しい仕事を2つのカテゴリーに区別する。・・・(以下略)

このテーマについて深く知るための「連読」3冊
経済古典は役に立つ』 竹中平蔵 光文社新書 2010年
近代経済学の解明 上』 杉本栄一 岩波文庫 1981年
近代経済学の解明 下』 杉本栄一 岩波文庫 1981年
経済学の効用』 宇野弘蔵 東京大学出版会 1972年
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