佐藤優 インテリジェンス・レポート
「習近平・プーチン会談でわかった中国外交の敗北」ほか

佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」Vol.010より

【はじめに 】
中国のロシアへのラブコールは、プーチン大統領によって無視されました。今回の中露首脳会談で、プーチンの対中警戒感がいかに強いかが再確認されました。もっとも、それ故に、日露関係が改善するという保証はありません。地政学的、戦略的な大きな絵を日本側で書いて、ロシアを巻き込んでいく必要があります。

沖縄で起きている一連の問題に関しては、民族問題という観点で見るとわかりやすいです。日本の国家統合をいかに維持するかが焦眉の課題です。一般に民族独立は、民衆の意志によって起きるのではないく、現地の政治エリートと文化エリートの機運が決定的に重要であるというのが、ソ連、中東欧の民族問題を観察し、ロシア科学アカデミー民族学人類学研究所で民族理論を研究した私の結論です。3月25日に中央公論新社から上梓した拙著『新・帝国主義の時代』(左右2巻)では、民族・エスニシティ問題の視座から、沖縄情勢を分析した論考がいくつか収録されているので、この問題に興味を持たれた読者は、是非目を通してください。

アベノミクスをめぐる議論は、まさに中世の神学論争を彷彿させます。基礎教育が神学である筆者の知的好奇心が刺激されます。今後、経済関係の読書ノートが増えます。主流派経済学だけでなく、日本では絶滅危惧種となりつつあるマルクス経済学(特に宇野学派)関連の視座が、意外と現状を読み解くのに有益です。

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【メルマガ目次】
―第1部― インテリジェンス・レポート
■分析メモ(No.22)「習近平・プーチン会談でわかった中国外交の敗北」
■分析メモ(No23)「なぜ『主権回復の日』に沖縄が忌避反応を示すのか?」
―第2部― 読書ノート
■『教養としての経済学 生き抜く力を培うために』
■「アベノミクスをどう評価しますか? 地道なことを辛抱強くするしか道はない」
■『数えてみよう・無限を調べる』
―第3部― 質疑応答
―第4部― 文化放送「くにまるジャパン」発言録
―第5部― 佐藤優さんの今後の予定(5月初旬まで)

インテリジェンス・レポート:分析メモ(No.22)
「習近平・プーチン会談でわかった中国外交の敗北」

【事実関係】
3月22日、ロシアを公式訪問中の習近平中国国家主席がクレムリンでプーチン露大統領と会談した。

〔PHOTO〕gettyimages

【コメント】
1.―(1)
 習近平は、国家主席就任後、最初の公式訪問国をロシアにした。習近平指導部のロシア重視のシグナルに対して、プーチン大統領は一定の距離を置く姿勢を示した。産経新聞の

今回の声明には、「反ファシズム」など中国側の目指した対日歴史認識についての記述はない。急速に国力を増す中国に警戒感を抱き、日本など他のアジア諸国との関係も強化しようと腐心するロシアの姿も透けて見える>(3月23日、MSN産経ニュース)という指摘が核心を衝いている。

1.―(2)
朝日新聞は、

習氏は会談後の共同会見で、尖閣諸島問題などを念頭に、国家の主権や安全保障にかかわる問題での連携を強調。共同声明は領土問題などで「断固互いを支援する」とした。/習氏は会談後の共同会見で、「重大な国際問題や地域問題で幅広い意見の一致を見た」と強調した。/そのうえで、「我々は相手国が国家主権と安全を守り、国情に合った発展の道を進むことを支持する」と訴え、領土問題や安全保障問題を視野に両国の協調の幅を広げる考えを示した。/一方、プーチン氏は「我々は将来の経済や貿易の協力発展のあらゆる可能性を推進していく」と、経済を中心とした両国関係の強化の必要を強調。会見で主権や領土問題については触れなかった>(3月23日、朝日新聞デジタル)

と報じるが、共同声明を対日牽制に用いようとする習近平の焦りがうかがえる。

2.
2010年9月27日、北京で当時の胡錦涛中国国家主席とメドベージェフ露大統領が会談し、「中華人民共和国の胡錦濤国家主席とロシア連邦のメドベージェフ大統領による第二次世界大戦終結65周年に関する共同声明」に署名した。この共同声明において、

インテリジェンス・レポート:分析メモ(No23)
「なぜ『主権回復の日』に沖縄が忌避反応を示すのか?」

【事実関係】
2月12日の閣議で、政府は4月28日を「主権回復の日」として政府主催の式典を行うことを決定した。

【コメント】
1.
1952年4月28日にサンフランシスコ平和(講和)条約が発効し、日本が国際法的な主権を回復したことを記念し、安倍政権が4月28日に「主権回復の日」政府主催の式典を行うとの閣議決定を行ったことに対し、沖縄が忌避反応を示し、強力な異議申し立てを行っている。

2.―(1)
3月19日、首相官邸で安倍晋三首相と全閣僚、仲井真弘多(なかいま・ひろかず)知事が出席する沖縄政策協議会(主宰・菅義偉〈すが・よしひで〉官房長官)が開かれた。協議会の席で、仲井真知事は、<政府が1952年のサンフランシスコ講和条約発効を記念して4月28日に開く「主権回復の日」式典について、「沖縄にとっては(日本から)切り捨てられた日だ。われわれはちょっと考え方が違う」と開催に不満を示した。>(20日『琉球新報』)

2.―(2)
沖縄以外の日本の情報空間では、「主権回復の日」式典に沖縄が忌避反応を示していることが、重要な事柄と認識されていない。「琉球新報と沖縄タイムスと地元の左翼勢力、さらに朝日新聞が、煽っているだけで、民意はこの問題にたいして関心を持っていないか、保守系の人々は内心では『主権回復の日』式典を歓迎しているのだが、同調圧力が強いので、公言できないのだろう」という現実から乖離した受け止めをしているマスメディア関係者や有識者が多い。その影響を受け、政治エリート(国会議員、官僚)が沖縄の反発を過小評価している。

2.―(3)
仲井真知事のこの発言を聞いて、協議会に出席した人々は、衝撃を受け、はじめて事態の深刻さを認識したと思う。

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