二宮寿朗「一体どうなる? 2022年カタールW杯」

 3月のドーハは思ったよりも過ごしやすい――。ブラジルW杯アジア最終予選のヨルダン戦を控えていたザックジャパンが、カタールの首都ドーハで合宿を行なった。暑いことを予想して来てみたが、日中の気温は20度前後。夕方以降になると、上着を一枚羽織らないと寒さを感じるほどだ。夕方に全体トレーニングが行なわれたが、選手たちにとってはコンディションのつくりやすい気候だっただろう。

大事なのは一般客の健康安全確保

 筆者がドーハを訪れたのは、日本が優勝した2年前のアジアカップ以来だ。あのときは1月に開催されたが、もっと蒸し暑かった。砂塵が舞い、町を歩くにしてもとにかく目が痛かった記憶がある。当時と変わっていなかったのは、あちこちで建設ラッシュが続いていたことだ。オイルマネーで潤う都市は、近代化への道を着々と歩んでいる印象を受けた。

 さて、そのカタールだが、既に決定している2022年W杯の開催が今になって揺らぎ始めている。その背景には、以前からネックとなっていた夏開催への不安拡大があるようだ。ドーハは夏には気温40度を超す猛暑となる。招致のプレゼンではスタジアムと練習グラウンドなどに冷房システムを導入して問題をクリアできるとしていたが、莫大な費用がかかるとあって計画通りに工事が進行できるのかを疑問視する声があがっているのだ。

 昨年末には、UEFA(欧州サッカー連盟)のミシェル・プラティニ会長が通常の夏開催ではなく、カタールW杯の冬開催を強く主張した。冬季オリンピックとの日程重複を回避するため、11、12月での実施を求める具体的な提案を示しているようだ。さらに今月に入ってFIFA(国際サッカー連盟)のジェローム・バルク事務局長が「医学的な見地から問題があれば、時期変更の検討に入る」と明言した。これを受けてFIFA医事委員会が観客の健康安全確保という観点から夏開催反対という結論を出したわけである。

 たとえ冷房システムが予定通りに完備されたとしても、猛暑対策の対象はあくまで選手、チームであり、一般の観客にまで及ぶものではない。地元の人々でも夏の日中は、極力外出しないというのだから、長ければ1カ月近くも滞在する観客の健康面を考えれば、当然の「反対表明」だった。そこでカタール招致委員会は「夏でも冬でもやれる」と冬開催への関心を示し始めた、というのが現在のところのおおよその流れだ。