アベノミクス推進には民主党時代の政策の"仕分け"が急務だ! ~宙に浮く会社法改正案と企業統治の見直しについて

 民主党政権時代にまとまった会社法改正案の扱いが宙に浮いている。法務省の法制審議会会社法制部会が2012年8月に「要綱案」としてまとめたもので、民主党は法案を国会に提出することなく政権の座を降りた。政権を奪還した自民党も、前政権の置き土産の扱いに苦慮している。

 というのも、会社法改正に盛り込まれたコーポレートガバナンス(企業統治)の見直しは、アベノミクスの3本目の矢である「民間投資を喚起する成長戦略」と不可分の関係にあるからだ。法案審議の順番を決める国会対策委員会でも後回しにされ、今国会では要綱案が法案として提出される可能性はほぼゼロになった。まさに宙に浮いた格好になっているのだ。

民主党政権中に答申された要綱案の扱いをどうするか

 「国家の基本法の改正に政治が介入するのは問題だ」

 法制審議会の委員を務める学者は言う。政権が交代したにせよ、中立な立場で審議してきた法制審の意見は尊重されてしかるべきだ、というのだ。

 会社法(旧商法)や民法、刑法といった「基本法」は、法制審議会が議論して要綱案をまとめ、それが法案となるのが慣例となっている。政治的な利害対立を調整するために法案修正が行われる一般の行政法規とは別格扱いされてきたのだ。それだけに法制審の権威は格別で、法制審の委員に選ばれるのは法律学者にとっては最高の名誉。その審議会がまとめた案に政治家が口をはさむのはけしからん、というわけだ。

 今回の会社法制見直しでは、企業統治の仕組み、いわゆるコーポレートガバナンスに関する制度改正が含まれている。その1つが「監査・監督委員会設置会社制度の創設」。

 現在の会社法では欧米型をモデルとした委員会設置会社と、日本型の監査役会設置会社がある。当初は欧米型のガバナンスへの移行が進むと考えられたが、実際には委員会設置会社の導入は進まなかった。このため、両方の型の折衷案とも言える「監査・監督委員会」だけを設置する会社を認めようという案だ。

 もう1つが「社外取締役」の扱い。中間試案の段階では全上場企業に最低1人の社外取締役を義務付ける案が盛り込まれていたが、経団連などの反対で義務化は見送られた。ただし、社外取締役がいない場合には「社外取締役を置くことが相当でない理由」を事業報告に記載することを求めている。

 このほか、親会社の株主が子会社の不祥事に対して株主代表訴訟を起こせるようにする規定や、新株発行時の情報開示の強化など企業に「規律」を働かせるための改正が盛り込まれている。

 自民党内などからこの要綱案をそのまま法律案にすることに難色を示す反応が出ているのは、これが民主党が政権を奪取した段階で諮問し、民主党政権中に答申されたものだからだ。

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