公示価格の下げ幅縮小は朗報か!? 国交省の大本営発表と新聞各紙の提灯記事が見落とす実需不足と株式市場の"変調の兆し"
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 国土交通省が先週21日に公表した地価調査で、前年より公示地価の下げ幅が縮小したことを受けて、アベノミクスが早くも効果をあげているかのように伝える提灯記事が溢れている。

 一例をあげると、「大都市地価、上向く 緩和マネー流入」(朝日新聞)、「脱デフレ 地価で先行」(日本経済新聞)といった具合だ。

 だが、こうした報道は、"大本営発表"を誇張するものに過ぎず、はしゃぎ過ぎの感が拭えない。

 新聞に期待される役割は、こんな報道ではない。国土交通省の言う地価底入れが本物かどうかきちんと検証したうえで、下げ止まりを一過性のものにせず、アベノミクスを成功させるために必要な政策課題を明らかにする姿勢が求められるのである。

珍しく明るい話題を報じた22日の新聞各紙

 先週もマスメディアでは、福島第一原発事故の冷却トラブルやTPP(環太平洋経済連携協定)交渉を巡る百家争鳴を伝える記事が目立ち、うんざりした人もいるだろう。そうした中で、地価に下げ止まりの兆しが出てきたとか、地価が日本一高い場所、あるいは東日本大震災の被災地の地価上昇を伝えた22日の新聞各紙の記事が珍しく明るい話題だったと記憶している向きが多いのではないだろうか。

 そう、東京都中央区銀座4丁目の「山野楽器銀座本店」と千代田区丸の内2丁目の「丸の内ビルディング」がそろって1㎡当たり2,700万円と2年連続地価日本一の座を仲良く分けあったとか、宮城県が住宅地の地価上昇率で初めて全国トップになったことを伝えた一連の記事である。

 かつての土地神話が一変、長年低迷を続ける経済の象徴の一つになってしまった地価の下落が今度こそ終わりを告げて、本格的な上昇に転じるのならば、それを多くの人が朗報と捉えるのはある意味で自然なことだろう。

 しかし、それらの記事は信頼に足るだろうか。実際に、国土交通省の「平成25年度地価公示」の変動率(全国平均)をみてみると、全国の地価は前年比でマイナス1.8%。そこから言えることは、平成21年以来、今回で実に5年連続の下落となったということに過ぎない。 

 用途別地価の動きを見ても、住宅地がマイナス1.6%、宅地見込地がマイナス3.4%、商業地がマイナス2.1%、工業地がマイナス2.2%と四分野すべてで下落が続いている。

 逆に、プラスになったのは、都道府県別に住宅地、宅地見込み地、商業地、工業地の4つのカテゴリーをみて、宮城県の住宅地(プラス1.4%)、宅地見込地(プラス2.7%)、工業地(プラス2.0%)、神奈川県の商業地(プラス0.2%)、愛知県の住宅地(プラス0.1%)だけなのだ。全部で184ヵ所あるうちのわずか5ヵ所でしか上昇がみられないのである。

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