安倍政権は、期待先行の景気好転を維持・定着させ、政治への信頼を回復できるか
〔PHOTO〕gettyimages

 東京では桜の花も満開となり、週末は各地で多くの人が花見を楽しんだ。花見用の飲食物も、昨年よりは豪華なものとなり、発泡酒がビールへ、ワインがシャンペンに、月並みな幕の内弁当が2,000円もする豪華弁当へと変わっている。メディアも、そのような変化をしきりに報道するため、世の中が明るい気分になり、財布の紐も緩んでいるようだ。喜ばしいかぎりである。

 デフレという病の怖いところは、世の中を暗くすることである。給料が下がって喜ぶ者はいない。物価も同じだけ下がっているから、何の影響もないではないかと反論する者もいようが、それは人間の心理を理解していない人たちである。

 物の値段が上がる → 物を作っている会社の売り上げが上がる → その会社の従業員の給料が上がる → 懐具合のよくなった従業員が消費を増やす → 物がもっと売れる → その値段が上がる、といった好循環が生まれることが必要なのである。

夏のボーナス増で大型消費の期待

 日銀の黒田新体制がスタートした。物価目標2%というのも、そのような好循環をもたらすための政策なのである。循環であるから、どこから始めてもよい。安倍首相が、業績が好調な企業に賃上げを要請したのは、その循環の中でこれまで最も実現困難だった点を打開しようという意図からである。円安の効果もあって、自動車産業などは好調で、賃上げの実行を約束している。まずは、この夏のボーナスが増えることが予想されるので、大型消費が期待できる。

 デフレとは、今日よりも明日、明日よりも明後日のほうが、物の値段が下がる状態をいう。待てば待つほど、安くなるならば、あえて今すぐに物を買おうという人はいない。逆に、値段が上がるならば、今のうちに買っておこうとするものだろう。

 しかも、消費税が、来年4月には8%、再来年10月には10%に上がる。家などの高価な商品については、それまでに購入しようというインセンティヴが働く。現にマンションの売れ行きが好調になってきたという。住宅は、経済波及効果の大きな買い物であるだけに、景気を刺激する効果も大きい。

 さらに言えば、インフレ期待が出てくると、ポートフォリオ選択、つまり、資産をどのような形で持つかという考え方に変化が生じてくる。これは、バブルのときを思い出してもらえば、すぐに分かることである。不動産、美術品、ゴルフ会員権などが軒並み高騰した。そして、バブルが終わると、一気にその価格が下がって悲劇を生んだことは記憶に新しい。

 最近、マンションの売れ行きが好調だったり、土地の公示価格が下げ止まり傾向になったり、高価な絵画が売れたりしているのは、人々が、価値が上昇すると見込まれる資産を選択しようとしていることの表れである。欧米では、近年の不況のときも、たとえば印象派の絵画は高値で取引されてきた。それは、ルノワールやセザンヌの絵を、金塊と同じ資産価値を持つと考えて投資したからである。

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