麻生副総理の中国訪問と安倍首相のロシア訪問、それぞれの思惑
〔PHOTO〕gettyimages

 『産経新聞』(3月22日付朝刊)一面の「麻生副総理、来月訪中―政府調整、習主席と会談も」はスクープである。正直言って、同紙に先を越された。

 実は筆者は、麻生太郎副総理・財務金融相の中国訪問計画を大分前から承知していた。しかし、外務省の幹部(河相周夫外務事務次官・1975年入省)から口止めされたため書くタイミングを計っていたのだが、結局『産経』に抜かれたのである。負けは負けである。

できれば習近平国家主席との会談を実現させたい

 そもそも麻生訪中説は、年初から官邸周辺で取り沙汰されており、外務省記者クラブ(霞クラブ)詰めのごく一部の記者が取材していたことも承知していた。

 なぜ、岸田文雄外相ではなく、麻生副総理なのか---。

 麻生氏は、2月25日に韓国・ソウルの国会議事堂前広場で開かれた朴槿恵大統領の就任式にも出席し、式典後、青瓦台(大統領府)で同大統領と会談している。日本からは森喜朗、福田康夫両元首相をはじめ、額賀福志郎元財務相(日韓議員連盟会長)、仙谷由人元官房長官なども出席したが、朴大統領と会談できたのは、安倍晋三首相が名代として派遣した麻生氏だけだった。

 先の全人代で習近平中国共産党総書記が国家主席に選出され、習近平体制が発足した。今月末までに日中経済協力会(会長・張冨士夫元トヨタ自動車会長)、日中協会(会長・野田毅自民党税調会長)、そして来月上旬には日本国際貿易促進協会(会長・河野洋平前衆院議長)が相次いで訪中団を派遣、中国の対日政策に今なお影響力を持つ唐家璇中日友好協会会長(元国務委員)や王毅外相などと会談するが、習体制下の共産党政治局常務委員クラスには会えない。

 オバマ大統領との首脳会談を通じて日米同盟再構築を謳いあげた安倍首相は、竹島問題を抱える対韓関係修復と対露関係修復・進展に強い意欲を持つが、対中関係修復にはそれほど熱意を持っていないとされる。それでも、尖閣諸島の国有化以降対立が続く日中関係を、第1次安倍内閣発足直後に電撃訪中して合意をみた「戦略的互恵関係」レベルには戻したいというのが本音だという。

 そのためには、やはり自分の名代として麻生副総理を派遣し、新国家指導部のツートップである習近平国家主席か李克強首相のいずれか、できれば習氏との会談を実現させたいというのだ。

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