巨大地震に挑む最先端テクノロジー 【後編】
地盤の条件も問われず免震装置よりも安く上がる
プラスアルファで「揺れを制御する」技術

【前編】はこちらをご覧ください。

 ビルや住宅の地震対策技術は大きく3種類に分けられる。揺れに耐える「耐震」、揺れを受け流す「免震」、揺れを制御する「制震」だ。前回は耐震と免震について触れたので、残るひとつである制震技術を見てみよう。

 免震装置と比べると、一般に制震装置の揺れを抑える能力は落ちる。その代わり、コストを低く抑えられる。また、大地震にならないと作動しない免震装置に対し、小さな地震や強風による日常的な揺れを防いでくれる。

 1995年の阪神・淡路大震災で免震への関心が高まったのに対し、制震が注目されるようになったきっかけは2011年に起きた東日本大震災だった。

 清水建設広報部報道グループの今村秀夫グループ長は、「長周期震動によって、震源地から遠く離れた東京や大阪の超高層ビルが大きく揺れた。そのため、制震が注目されるようになりました。土台につけなければいけない免震装置と違って、制震装置は既存の建物に組み込みやすい、というメリットもあります」と話す。

揺れている時間を短くする高層ビルの制震技術

 高層ビルの制震装置は、中に油が入ったオイルダンパーなどを使うことが多い。これをビル内部に地面と平行にセットすることで、自動車やオートバイのショックアブソーバーのように震動を吸収し、やわらげるわけだ。

 さらに清水建設では、2010年に「ダイナミックスクリュー」という最新の制震システムを開発した。

 長さ120センチメートル、直径50センチメートル。外観は従来のオイルダンパーに似ているが、油は入っていない。一方に本体と垂直になる形で棒が伸び、先端に600キログラムのオモリがついている。ちょうど、竹トンボのような形状だ。

 本体に圧力が加わると、ネジとナットの働きで、その力が回転運動に変えられる。つまり、横方向から加えられた地震の力を回転運動に変え、オモリをグルグルと回転させるわけだ。ダイナミックスクリューという名前の所以である。