Tagboard ~ソーシャルメディア上の分断された会話をひとまとめ。ハッシュタグはソーシャルメディア時代の新しいURLに?

「タグボード(Tagboard)」のHPより

 みなさんは普段、ツイッターなどのソーシャルメディアで情報発信をする際、ハッシュタグを使うことはありますか?

 テレビ番組を見ながらツイッターで感想をつぶやき合ったり、イベントに参加している際に質問や気になった発言を共有したりするときなど、ハッシュタグ(「#」という記号で始まる単語)を含みツイッターで投稿することで、関連する投稿を一覧で見ることが可能になります。

 地震などの自然災害や中東の民主化運動など、日々の生活や社会を動かすような大きな事件も含めて、ありとあらゆるトピック、キーワードに関してハッシュタグが存在し、簡単に作成することが可能です。

 日々、情報が洪水のように生み出され、スマートフォンなどの普及によって、リアルタイムでの情報の受発信が重要性を高めてきています。そんな背景もあり、ツイッター上で展開される会話に文脈を与える機能として、広く使われています。

 また、以下の記事によると、今年2月に米国で開催されたスーパーボウルの際に放映されたテレビCM52本のうち、なんと半分の26本でツイッターのハッシュタグが紹介され、ゲームの視聴者の間での話題作りに活用されました(Facebookのアカウントに関して言及したCMは4本)。企業ブランドのマーケティング手法として、そしてツイッター社の収益源としても、見過ごすことができないトレンドといえます。

●「Game Over: Twitter Mentioned In 50% Of Super Bowl Commercials, Facebook Only 8%, Google+ Shut Out
Marketing Land, 2/3/2013

 なお、今年1月には、言語学者や文法学者によって構成される「アメリカ英語学会(American Dialect Society)」が選ぶ2012年の「今年の言葉」に、「hashtag(ハッシュタグ)」が決まりました。

●「"Hashtag" is the 2012 Word of the Year American Dialect Society

 そんな中、以下の二つのニュースはとても興味深いものでした。

●「フェイスブック、ハッシュタグの利用目指す WSJ.com, 3/15/2013

●「Flickr for iOS jumps on the hashtag #bandwagon with new update Digital Trends, 3/18/2013

 10億人以上の利用者を誇るフェイスブックがハッシュタグを利用すると噂されています。また、60億枚ものオンライン上の写真が共有されている写真共有サービス「フリッカー」では、既にハッシュタグの利用が可能になっています。フェイスブックが昨年買収したインスタグラムも既にハッシュタグの利用が可能です。

 今まで「フェイスブックは親密な友人や家族との心地よい場所であり、ツイッターは不特定多数への情報発信手段、あるいは実況中継ツール」と考えていた人たちの間にも、これからは様々なプラットフォーム上のコンテンツを「キーワード」に基づいて発信したり、閲覧したりする、という行動が広がっていきそうです。

ハッシュタグで整理された会話を一覧表示する「タグボード(Tagboard)」

 ハッシュタグを巡る最近のトレンドをいち早くつかみ、2012年8月に生まれたばかりのスタートアップ企業「タグボード(Tagboard)」は、「ハッシュタグ」の検索・ディスプレイ・プラットフォームサービスに特化し、最近、魅力的なサービスを矢継ぎ早に提供しています。米国ワシントン州レドモンドに拠点を置く、スタッフ数十名の同社のサービスの特徴を、今回は紹介します。

 同サイトのデザインは至ってシンプルですが、特定のハッシュタグを入力することで、ツイッターのみならず、フェイスブックや画像共有サービスのインスタグラム、 さらに「動画版インスタグラム」と呼ばれているツイッター公式動画投稿サービス「ヴァイン(Vine)」、グーグルプラスなど、ありとあらゆるプラットフォームから特定のハッシュタグに関連する投稿を検索表示することが可能になっています。ブラウザーのエクステンション機能を使用すれば、アドレスバーにハッシュタグを入力するだけで、自動的に検索結果が表示されるようにもなります。

 例えば「ワールド・ベースボール・クラッシック」に関連する投稿を確認しようと、「#wbc2013」と入力してみると、以下のようなツイッターの投稿とインスタグラムの投稿の中から、「#wbc2013」を含んだものが一覧表示されます。

 また、こうした機能はライブイベントの際に大きな力を発揮します。先日リリースされたばかりの「ライブ」機能(要事前申請)を活用することで、イベント開催時には壁の大きなスクリーンで画面を自動更新することが可能になりました。会場全体で、参加者の感想や撮影した写真、動画などを共有し、イベントを盛り上げることができるのです。使用イメージについては、以下の動画をご覧ください。

 同社創業者兼CEOのジョッシュ・デッカー(Josh Decker)氏にメールで取材を試みました。「最も誇りに思っている現在の実績」を尋ねたところ、「サイト訪問者の平均滞在時間が平均15分にも上ること」と答えてくれました。

 デッカー氏はまた、近い将来には動画共有サービス「ユーチューブ(Youtube)」、写真共有サービス「フリッカー(Flickr)」、ブログサービス「ワードプレス(Wordpress)」「タンブラー(Tumblr)、15秒間の短い動画投稿サービスの「タウト(Tout)」、そして画像共有サービス「Pinterest(ピンタレスト)」の導入も視野に入れているとのことです。

 広告には一切費用をかけていないにもかかわらず、既にクチコミで159カ国からアクセスがあり、アウディ(#Audi)や国際的に著名なイベント「サウス・バイ・サウス・ウェスト(#sxsw)」、ワシントン大学(#UDUB)などの顧客を抱え、問い合わせも順調に増えているとのことです。

 デッカー氏曰く、「ハッシュタグはいずれURLと同じくらい強力なものとなり、現在、各種ソーシャルメディアのプラットフォームで分断されている会話が、タグボードのサービスを活用することで繋がることが可能になる」とのこと。

 フェイスブックで友達関係でなくても、ツイッターでフォローしてなくても、公開設定がされている投稿であれば、よりオープンに情報が拡散し、情報を求めている人に見つけられやすくなるからです。

 イベント主催者、企業ブランドやテレビ番組のマーケティング担当者、災害時の広報・情報担当者、特定のテーマに関するコミュニティやサークル、NPOに至るまで、何らかのキーワードをハッシュタグとして日頃から活用していれば、いざという時に、コミュニティのエンゲージメントツールとして役に立つ可能性があります。私自身、サービスを実際に使いながらその思いを強くしました。

 デッカー氏によると、今後は、分析機能やウェブサイトへの埋め込み機能など、新しい機能の追加が続々と予定されているとのことです。

 日本では時折、イベントやテレビ番組に連動してハッシュタグが使われているケースをを見ることがあるものの、そこまで広くは活用されてないように感じます。アメリカでのハッシュタグ活用の浸透を改めて見てみると、大きな可能性があることがわかりました。

 自分が所属する組織や、興味のあるテーマに関してハッシュタグを意識的に活用すれば、思いがけないコミュニティ間のエンゲージメントを高めることが可能になり、また、ビジネスとしてもきっと販促効果得られるでしょう。

 デッカー氏によると、近く大きなクライアントの導入が予定されているとのことです。ぜひ、ハッシュタグの活用とタグボードの今後にご注目ください。また、実際に身の周りのキーワードに関するハッシュタグの活用も、この機会に試してみてはいかがでしょうか?

本記事に関するご意見、ご質問、フィードバック等は筆者のFacebookページまでお願いいたします。ツイッターは@socialcompanyです。ハッシュタグ「#socialcompany」もぜひ、ご利用ください。

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このたび、2010年から寄稿していた「ソーシャルビジネス最前線」の内容に大幅に加筆修正を施して、先日、以下の書籍を出版させて頂きました。ぜひ書店などで手に取って頂けたら幸いです。

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