つまり証券幹部は、武井保雄元会長が盗聴で刑事罰を受けるような消費者金融の武富士、ビジネスモデルが壊れて「増資マフィア」と呼ばれる人間が群がるYOZANのような会社に関与するサンドリンガムとは付き合わない方がいいといったのであり、「反社」と名指ししたわけではない。
房氏が、武富士に深く関与したのは事実である。房氏のもう一人のパートナーに川島亮太郎氏がいる。住友銀行、中央クーパースアンドブライトン国際税務事務所などを経て、95年武富士に入社、財務部次長を務め、99年に退社している。この頃、房氏はUBS信託銀行にいて武井氏のプライベートバンカーとして活躍した。
武井氏をめぐる騒動のなかに、1600億円の「贈与税逃れ」に関する裁判がある。武井夫妻は、オランダに投資会社を設立、武富士株をそこに移したうえで、その投資会社の株を香港在住の長男・俊樹氏に贈与した。「外―外」の贈与なので合法と判断したわけだが、裁判所は俊樹氏の居住実態が日本にあるとして課税処分をした。
このスキームに房、川島の両氏は関わった。2人はともに、00年クレディスイスファーストボストンに移籍、そこで一緒になったのが鳥井氏だった。
川島氏は同社でM&A本部長を務めたものの04年に退社、再び武富士に戻って取締役兼教務執行役員となり、05年に退社、房氏の仕事を手伝うようになって、サンドリンガムが傘下に置いていた旧ジャレコ・ホールディングス(現EMCOMホールディングス)で代表を務めていた。
刑事事件を引き起こす武井氏の品格や、節税スキームを原因に、房氏やサンドリンガムを批判するのはおかしい。ファンドは投資家のものであり、プライベートバンカーは顧客のために最善を尽くすのが務めである。
支払う税金は少しでも安いほうがいいと、サンドリンガムは拠点をタックスヘイブン(租税回避地)のケイマン島に置いているし、「外―外」の認められた租税回避スキームを用意した。むろん、武井氏が暴力団や企業舎弟といった「反社」ならともかく、上場企業のオーナーである。金融マンが顧客の人柄や性格まで気にしていたら務まらない。
YOZANにしてもそうだ。同社が多用するMSCB(修正条項付き転換社債)は、ライブドアがニッポン放送を買収する際に使って知られるようになったマネーゲーム的手法だ。証券界では発行会社と証券会社の欲望は満たしても、株主価値の向上につながらず、逆に1株当たりの価値を落とすと評判が悪い。
だが、違法ではなく、金融機関に見捨てられた上場企業の最後の資金調達手段である。そうした会社のCFOを鳥井氏が務めたとしても、レピュテーションリスクは負うとしても、「反社」ではない。
金融商品取引法違反の疑いも
そもそも会社は株主のものという観点から立てば、前社長の馘首という重要事実を、株主にも投資家にも知らせず、それどころか「病気のため」とウソのIR(投資家向け広報)をしていたとしたら、秋草氏ら経営陣は、偽計取引につながる金融商品取引法違反の疑いがある。
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