山崎元「ニュースの深層」
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アベノミクス効果で、「バブル前夜」1986年の状況に似てきつつある

2013年03月20日(水) 山崎 元
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今の株価は、まだバブルでない

 いわゆる「アベノミクス」は、「期待への働きかけ」が功を奏して、前週の段階で対ドルの為替レートが96円、株価は日経平均で1万2,000円台と効果を発揮し始めている。

 2%のインフレ目標が設定され、日銀の首脳交代に伴う金融緩和強化の期待も相まって、市場参加者が「近い将来の実質金利が低下する」という期待(=予想)を形成して、円安・株高に向かっている。この動きは合理的であり、単なるムードだけによるものではない。

 この場合、「期待」と言っても、将来のインフレの実現を直接予測したものではない点に、少々注意が必要だ。市場参加者は、いつ、どの程度実現するか分からないインフレの予想にお金を賭けているのではない。

 このパターンは、学習能力のある投資家なら、昨年2月の「バレンタイン緩和」(日銀が1%のインフレ目標の目処を発表した)へのマーケットの反応から十分予測できたはずのものだ。

 筆者は、現時点での株価はまだ「バブル」の範疇ではないと思っている。民主党政権時代の株価がひどすぎたのであって、最近の株価上昇は、主にそれを修正したに過ぎない。

 しかし一方で、現在の状況は、1986年頃の状況に似ていると感じている。

 1986年は、前年のプラザ合意に続く急激な円高の影響で景気はパッとしなかったが(実質成長率は投資としては低い2.8%)、金融緩和による「カネ余り」(この頃に登場した言葉だ)を背景に、株価が大きく上昇した(日経平均で約42%)。現状とは、「円高+不況→金融緩和→株高」という点が似ているが、類似点はこれだけではない。

 翌1987年は、米国でブラックマンデーの大暴落が起きた。日本株もこれに連れて大きく下げたが、この時、日本政府・日銀は「日本が世界の需要を牽引する」必要性を自認して、金融緩和を継続する。

 終わってみると、87年は株価が約15%上昇した。その後は、88年に約39%上昇、89年にも約29%上昇という、後から見ると無理かつ余計な株価上昇を示現するバブルの経路に入る。

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