原子力規制委員会が国民の「信頼と信認」を得るためにすべきこと

 東日本大震災から丸2年が過ぎた。亡くなられた多くの方々のご冥福を改めてお祈りしたい。また、今もまだ避難生活を余儀なくされている方々には心からお見舞い申し上げたい。

 震災によって引き起こされた東京電力福島第一原子力発電所事故は今もまだ終わっていない。私たちはこの事故の教訓を真摯に学び、今後の安全対策に生かしていく責務を負っている。原発再稼働に向けた原子力規制委員会による新安全基準の策定と、活断層調査が関心を集めているが、失われた国民の信頼と信認を原子力規制組織が取り戻すのはそう簡単なことではない。

 原子力規制委員会が信頼と信認を取り戻すための、極めて重要な問題をここで指摘しておきたい。独立行政法人「原子力安全基盤機構」(JNES)の統合問題だ。

「規制の虜」状態の克服

今回の福島原発事故の教訓の一つに、原子力に関する知見と経験の分断があった。かつての原子力安全・保安院は、他の省庁と同様、役所特有の人事ローテーションが適用されていたため、原子力安全についての高度な専門性を持つ人材を継続的に育成できる環境になかった。

 歴代の保安院長を見ても、その前のポストは資源エネルギー庁資源・燃料部長であったり、電力・ガス事業部長であったりと、原子力とは無関係のポストから、保安院長や次長になる人事が多くみられた。

 そのため、原子力安全・保安院が、規制対象である事業者よりも劣位にあることが常態化していた。特に博士号取得者などを中心に真の専門家集団として原子力規制行政の実体を担ってきた傘下独立行政法人であるJNESが創設されて以後は、技術的な専門性は完全にJNES任せとなり、保安院とJNESとの間で技術知見の乖離が益々広がる結果となった

 それが福島原発事故後の対応でも大きく影を落とした。事故の収束に当たった関係者によると、事故対応の際に、JNESが原子力安全・保安院に、事故の対処法や対策に関して100の情報を伝えても、原子力安全・保安院は10しか理解できないケースがままあったという。専門能力の欠如の結果だ。

 更にそこから情報を首相官邸に上げる頃には、情報量はわずか1に減ってしまっていた、と言うのだ。この3者のバラバラが、福島事故の対応と収束を更に困難にさせたというのが、大きな教訓の1つだ。

 このことは、「規制の虜」という表現で、国会に設置された東京電力福島原子力発電所事故調査委員会(国会事故調)の報告書でも指摘されている。二度と福島原発事故のような惨事を繰り返さないためには、原子力規制組織が「高度な専門知識を持つプロ集団」に進化し、科学的知見をベースにした独立した判断が下せる体制を、一日も早く創設しなければならない。

 そこで我々は、新たに創設される原子力規制委員会に、このJNESを統合・合体させることにより、規制機関の専門性の欠如、すなわち「規制の虜」状態を克服することとしたのだった。

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