アベノミクス効果の円安・株高の裏で若年層を侵食する「海外自分年金」とは何か?
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 アベノミクス効果が消費に現れ始めた。株高を受けて、百貨店の高級ブランド売り場は、軒並み前年比10%以上のアップを記録、企業も含み益が増えて、設備投資や賃上げに踏み切るなど姿勢が前向きになってきた。

 その一方で、「日本の将来」に不安を感じている層は少なくない。それも、団塊の"逃げ切り世代"が、今回の株高で、退職金や少なくない貯蓄で株式などに投資、資産を増やしているのに対し、若年層の不安は深刻だ。

 少子高齢化、産業の成熟化、二極化、そして1000兆円に達する国の借金・・・。

 「ハイパーインフレの心配なんて、しなくて大丈夫!」

 安倍晋三首相はこう強調するが、1%の金利上昇が10兆円の金利負担を生むという心理的プレッシャーや、増税の為に財務省が繰り返し発する「日本の借金はGDP(国内総生産)比200%を超えており、ギリシャより悪い」といった情報に、重圧を感じるなという方が無理だ。

「オフショア積立投資」人気化の背景

 そんな心理を見透かしたように、ここ数年、人気を高めているのが「海外自分年金」である。具体的には、英領マン島などに置かれたファンドへの投資であり、運営は英系保険会社などが行なっている。

 「オフショア積立投資」といった方が正確だが、毎月5万円程度を、25年から30年のロングで積立、公的年金ではなく、「投資リスクも背負う個人年金のような投資」という意味で、「海外自分年金」である。

 1998年の外為法改正で海外への資本移動が自由化されると、海外資金を呼び込むことに長けた英系金融機関のサービスを、香港などの金融機関に口座を開設して受ける富裕層が増えた。

 しかし、口座開設は英語で行わなければならず、日本語でサービスする現地企業もあるが、悪徳業者が少なくない。それもあって、ある程度の語学力と資産のある層に限られていた。それが最近「オフショア積立投資」が人気化した。なぜか---。

 投資を仲介するファイナンシャルプランナーが解説する。

 「意識の高い層は20代後半で、将来の年金資金をどうしようかと考えています。どう考えても公的年金は頼りにならず、もらえない可能性だってある。だから自分で蓄えるしかないけど、超低金利で銀行に預ける気はしないし、投信も、変額保険もたいした利回りは期待できない。それに、国債暴落でハイパーインフレの可能性が否定できません。だったらいっそ、海外で運用しようかと考える若者が増えています」

 実際、仲介業者が開いているマネースクールは活況だ。「資産運用」というと、50代から60代というイメージだが、こちらのマネースクールに集まるのは、その子供の世代。意識的で少しリッチ。しかも、昨年から「月5万円の積立で1億円を貯められる」と、ネットや雑誌などで大きく広告を打つ業者の存在などもあって、今年に入ってブームは過熱している感がある。

 日本の安定的だが面白みのない投信を始めとした金融サービスに比べると、海外には株、通貨、先物、土地などに世界を見渡しながら投資、高いパフォーマンスを叩き出しているファンドが少なくない。そうしたファンドを選べば、月5万円でも複利で10%の運用利回りなら、30年後に1億円となる計算だとうたっている。

 もちろん、かなりのリスクも伴うのだが、具体的な金融サービスの中身は、投資助言業の登録を持ち国内で営業する業者も、国内では投資環境の説明だけで、現実の契約は海外の、例えば香港のIFAと呼ばれる投資助言業者との間で結ばせる業者も、あまり深くは語らない。

 大半が、仲介した業者が金融機関から数ヵ月分(加入金額や年数によって異なるが数十万円となる)のキックバックを受け取る金融サービスとなっており、日本では金融商品取引法上、認められない。具体的でないのには、そうした業界事情が背景にある。

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